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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第8章 いざ大舞台へ!
「と言っても前座ですけどね」

 場所は例によって僕の部屋。そしてこちらも例によって僕と『パンツァーカイル』のメンバー四人が揃っている。

「でも両国国技館ですよね。大きな会場ですよね」

 感に堪えたような声でハルナさんが言う。

 大相撲の会場としておなじみの両国国技館は相撲以外にもプロレスの興業があったりアーティストのライブがあったり、学校の入学式や卒業式なんかも行われたりしている。要するにいろんなイベントが催されている会場ということ。

 相撲の時の観戦人数は一万九十八人。土俵の周りを東西南北ぐるりと客席が囲んでいる。ライブの時などは入り口とは反対側の客席、向正面はステージの裏側となるし土俵周りの砂かぶり席がなくなり升席も椅子が置かれ収容人数が減らされたりしても五千人近くのキャパがある。
 
 ライブハウスで百人集めるのがやっとの『パンツァーカイル』としては夢のような大舞台。

「前座ってのが気に入らないけどね」

 なんて言いながらもシーカさんの顔も喜びにほころんでいる。
 カエさんは五千人の視線を想像しているのかうっとりとしているし、イズミさんも満足そうに頷いている。

 その日のライブの主役は二年前にデビューしたシンガーソングライターの浅山知代。
 去年設立二年目のサッカー部が県大会で快進撃を演じた。そのサッカー部のキャプテンがチームの応戦歌として好んで聞いていた『You’re my Dreamer』という曲はサッカー部の活躍と共にテレビで特集が組まれたりもした。そして彼女はデビュー二年で両国国技館という大舞台を射止めた。

 透明感のある歌声と誰にでも好かれるルックスでデビュー以降、老若男女、お茶の間の人気を集めている。

「私達の名前を売るチャンスね」
「名前どころかCDも売れるんじゃないですか?」
 
 キラキラした笑顔でハルナさんが言う…んだけど。

「あのですね…当日は『パンツァーカイル』のCDは売れません」

『え?』

 メンバーの視線がまとめてこっちに向けられる。

 …僕もだいぶ女の子に慣れてきたつもりだったけど、こうやって注目されるとやっぱり居心地が悪い。
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