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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第9章 『パンツァーカイル』は永遠に
 両国国技館でのライブは大成功だった。前座とはいえ『パンツァーカイル』は五千人の観客を熱狂させた。誰にも知られていなかった彼女達は観客の心にしっかりと足跡を残した。

 その勢いのまま繰り出したストリートライブは国技館に置かせてもらったリーフレットの効果もあってか連日大賑わいだった。そして無事千枚のCDを売り切ることが出来た。

 あの瞬間の、最後の一枚が売れた瞬間のメンバーの目に溢れた涙を僕はきっと一生忘れない。いつもクールなイズミさんの目にさえ涙が浮かびシーカさんと固く抱き合っていた。

 そしてそのCDが入場チケット代わりの最後のライブ。事務所がまたも税金対策のために用意してくれた千人を収容できる大きな会場。

 そこに現れた観客は百人ほどだった。

 『パンツァーカイル』は最後のライブに失敗した。

 CDを買ってくれてもライブに来ていない人がたくさんいた。

 買ってくれた人の中にはストリートのライブを聞いた後、メンバーに声をかけられてつい買ってしまった、という人も多いだろう。買ったのが随分前だから忘れてしまった人もいるだろうし、もしかしたら来るつもりだったけど予定が入ったとか体調が悪くなったとか、そういう人もいるかもしれない。

 国技館でのライブの出来に大いに満足し、CDを売り切ったという結果も残した『パンツァーカイル』の最後のライブを事務所は業界内に大々的に宣伝した。もしかしたらこれから化ける金の卵、ダイヤの原石かもしれない。事務所の期待は大きかった。

 業界の中でも多少は話題になっていたのか芸能関係者が多数訪れてくれた最後のライブは、しかしガラガラの客席の中で行われた。
 メンバーはそれでも精一杯のパフォーマンスで会場を盛り上げようとしたが空席と空きスペースが目立つ会場ではそれも空回りに終わった。

 みんなの渾身の演奏は誰の心にも届かず、ただ空しく会場の壁に反射していた。

 メンツを潰された形になった事務所はこのライブを「失敗」と結論づけ『パンツァーカイル』には解散の通達が出された。
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