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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第9章 『パンツァーカイル』は永遠に
「待って下さい…」
絞り出されたかのようなかすれた声が部屋に響く。小さな声ではあったけど心の底から生まれたその声は部屋の中にいるすべての人に響いた。
生まれて初めて僕は心の声というものを出した。
「待って、下さい…」
「太一君?」
社長が視線を僕に向ける。声音から何かを感じ取ったかメンバーの視線にはいつもと違う温度を感じる。
「『パンツァーカイル』は精一杯やりました。限界まで頑張りました…なのに解散なんて…」
「太一…」
湿ったシーカさんの声。
「でもね。今さら取り消しも出来ないでしょう」
そんな僕らの心の動きに気付かず社長は言葉を続ける。
「あのライブのリーフレットにも書いてあったし、ホームページにもこの企画のことは書いてあるし、何より業界に大々的に宣伝しちゃったしね」
「だけど…っ!」
僕も負けじと言葉を紡ぐ。口下手な僕だけど言葉を探す必要はなかった。
僕が口下手でいつも言葉を探していたのは心から相手に言葉を伝えたいことが今までなかったからだ、と気が付く。
誰かのために。僕の仲間のために。僕を『仲間』と呼んでくれた人達のために。
絞り出されたかのようなかすれた声が部屋に響く。小さな声ではあったけど心の底から生まれたその声は部屋の中にいるすべての人に響いた。
生まれて初めて僕は心の声というものを出した。
「待って、下さい…」
「太一君?」
社長が視線を僕に向ける。声音から何かを感じ取ったかメンバーの視線にはいつもと違う温度を感じる。
「『パンツァーカイル』は精一杯やりました。限界まで頑張りました…なのに解散なんて…」
「太一…」
湿ったシーカさんの声。
「でもね。今さら取り消しも出来ないでしょう」
そんな僕らの心の動きに気付かず社長は言葉を続ける。
「あのライブのリーフレットにも書いてあったし、ホームページにもこの企画のことは書いてあるし、何より業界に大々的に宣伝しちゃったしね」
「だけど…っ!」
僕も負けじと言葉を紡ぐ。口下手な僕だけど言葉を探す必要はなかった。
僕が口下手でいつも言葉を探していたのは心から相手に言葉を伝えたいことが今までなかったからだ、と気が付く。
誰かのために。僕の仲間のために。僕を『仲間』と呼んでくれた人達のために。