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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第9章 『パンツァーカイル』は永遠に
「太一君」

 イズミさんが僕の腕にそっと触れた。

 ごめんなさい、ごめんなさい。
 僕は何も出来なくて。何にも出来ない僕をずっと今まで許してくれて。

 僕は人生で初めて僕以外の人のための涙を流した。

「君の気持ちはよく分かるけどね。もう四人での活動は認められません。事務所との契約も今日で解除になります」
「…分かりました。四人での活動はもう終わりにします」

 シーカさんの声。僕は顔を上げる。

 あんなにバンドの存続に必死なっていたシーカさん。
 なのに、何で…?

「太一、ありがとう。でも、もういいよ」
「だって…」

 ふわっと優しい香り。温かい体。
 
 僕を抱きしめてくれたシーカさんの胸の鼓動。

「大丈夫。『パンツァーカイル』はなくならない」

 その声に僕はただ泣いた。
 
 大丈夫、大丈夫。

 繰り返し言いながら僕の体を労わるように包み込む。

 大丈夫。

 シーカさんは自分に言い聞かせるように繰り返した。
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