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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第1章 『パンツァーカイル』
「お疲れさまでした」
今日は小さなライブハウスへ出演。共演したのはうちを入れて四組。持ち時間をいっぱいに使って五曲を歌った。うち三曲はCDに入っている曲だ。
四月から始まった「CD手売り企画」も六月の半ばまで来た。
二か月半、バンドに同行して思ったのはひいき目ではなく、このバンドはレベルが高い、ということ。見た目も、もちろん音楽も。
それでもインディーズからメジャーに活躍の場を移せないのはなぜか。そこらへんが今後の課題になってくるだろう。
今日までの「CDの売り上げはおよそ百五十枚。
「今日は何枚売れたの?」
五曲を前科甥で歌い切ってエネルギー切れのシーカさんはいつもライブの後はテンションが低い。元々気の強い人が苦手な僕にさらに「不機嫌」のおまけを付けたシーカさんがウーロン茶をグビグビと飲みながら聞いてきた。
「えっと、あの…」
「何枚?」
「三枚、です」
ぶいーん。古いエアコンが咳き込みながらも頑張ってお仕事をしている、その音だけがほんの数秒響いた。
…僕にとっては何時間にも感じられる、胃の痛くなるような数秒。
「三枚?」
シーカさんが問い返す。
「三枚、ですか…」
ちょっと悲しそうな声はハルナさん。
「…少ないわね」
切ない吐息も色っぽいのはカエさん。
「……」
イズミさんは黙って楽器を片付けている。
「さんまいです…」
僕の声は「情けない声」の見本みたいな声で部屋を漂い、メンバーの誰の耳にも入らなかった。
今日は小さなライブハウスへ出演。共演したのはうちを入れて四組。持ち時間をいっぱいに使って五曲を歌った。うち三曲はCDに入っている曲だ。
四月から始まった「CD手売り企画」も六月の半ばまで来た。
二か月半、バンドに同行して思ったのはひいき目ではなく、このバンドはレベルが高い、ということ。見た目も、もちろん音楽も。
それでもインディーズからメジャーに活躍の場を移せないのはなぜか。そこらへんが今後の課題になってくるだろう。
今日までの「CDの売り上げはおよそ百五十枚。
「今日は何枚売れたの?」
五曲を前科甥で歌い切ってエネルギー切れのシーカさんはいつもライブの後はテンションが低い。元々気の強い人が苦手な僕にさらに「不機嫌」のおまけを付けたシーカさんがウーロン茶をグビグビと飲みながら聞いてきた。
「えっと、あの…」
「何枚?」
「三枚、です」
ぶいーん。古いエアコンが咳き込みながらも頑張ってお仕事をしている、その音だけがほんの数秒響いた。
…僕にとっては何時間にも感じられる、胃の痛くなるような数秒。
「三枚?」
シーカさんが問い返す。
「三枚、ですか…」
ちょっと悲しそうな声はハルナさん。
「…少ないわね」
切ない吐息も色っぽいのはカエさん。
「……」
イズミさんは黙って楽器を片付けている。
「さんまいです…」
僕の声は「情けない声」の見本みたいな声で部屋を漂い、メンバーの誰の耳にも入らなかった。