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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第1章 『パンツァーカイル』
 CD千枚手売り。失敗で解散。
 でも僕は正直、楽な仕事なんじゃないのかって思っていた。千枚くらい売れるんじゃないの、って。むしろ事務所にこもっているよりもストリートライブに付き合っていろんなところに出向くほうが気が楽なんじゃないのかって。

 それに個性的な四人の美女に囲まれて仕事が出来る、という状況。悪くない。ていうか嬉しい。

 簗瀬太一、十八歳。彼女いない歴年齢と同じ。学校の体育祭でのフォークダンスでしか女の子の手を握ったことはなく、バレンタインとかいうイベントがおいしかった思い出は一度もなく、クリスマスなんていうのは僕にとってただ寒い日なだけだ。
 
 数は少ないながらも友達っぽい人はいるし、カラオケなんかに行く時は誘ってもらえたりもする。でも、そういう賑やかな場では何となく一人になてつぃまう。数人ずつでも盛り上がる会話の輪のどこにも入れず、一人でケータイを見たりしている。

 そう考えれると僕には友達、と言える存在はいないのかもしれない。連絡先を知っている高校の同級生が何人かいるだけだ。

 影が薄くて毒にも薬にもならない。人数合わせにはうってつけ。そんなふうに思われているのが僕という存在だ。

 そんな僕にも趣味と特技がある。趣味でもあり特技でもある唯一のこと。

 それは「痴漢」
 僕が唯一誇れるもの。それは『痴漢脳』
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