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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第1章 『パンツァーカイル』
初めての痴漢は本当に偶然だった。高校一年の夏。暑い日だった。
学校が終わって部活に入っていない僕はぼんやりと午後の空いた時間の電車に乗って帰る。
その日はいつもよりちょっと電車が混んでいた。乗った時はいつも通りだったんだけど、どうやら団体旅行か何かのおじさんおばさんと同じ車両に乗り合わせてしまったらしい。僕は運よく車両の端の三人掛けの座席のいちばん端に座ることが出来た。おじさんおばさんはドアを挟んで向こう側の七人掛けの座席のあたりを占拠している。騒がしいったらありゃしない。
次の停車駅で女子高生が乗って来た。騒がしい団体に目を向け、僕の隣の席が空いているのに気が付きそこに座る。存在感のない僕の隣にはどんな人でも平気で座る。女子高生の制服は僕が通う学校のとは違う制服だった。
僕は騒がしさに耐えかねてイヤホンで音楽を聞いていた。実は少しピアノが弾ける。小さい頃に親に習わされていた。楽しくはなかったけど特に行くのを嫌がる理由もなくて何となく続けていた。おかげで今でもある程度は弾ける。多分、叔父さんが僕を拾ってくれたのも小なりとはいえ芸能事務所だからピアノの腕が何かの役に立つこともあると思ってのことだと思う。
ピアノの音は好きだ。澄んでいて、それでいて弾く人の心をよく映す。激しい曲や楽しい歌から優しいメロディまで、何でも期待に応えてくれる楽器だと思う。弾く人次第なんだろうけど。
ともかくピアノが好きで流行の曲には疎かった僕はピアノがメインのジャズを聞いていた。いつかこんなふうに弾けるようになりたい。他の楽器とセッションしてみたい、と。
いつか僕も気の合う仲間と一緒に音楽がやれたら。
そう思いはするものの、そこまでピアノが上手なわけじゃないし、何よりも社交性の低い僕にはそんな仲間がいない。
はあ、と溜息を一つ落として窓の外に目を向ける。夏特有の大きな雲が空に浮かんでいた。
外に目を向けて初めて電車が動いていないのに気が付いた。イヤホンを外して車内アナウンスに耳を傾けてみれば、どうやら少し前に事故があって運転間隔の調整のために停車しているらしい。
そんなこともすぐに気付かないほどぼんやりと、中身のない高校生活を僕は送っていた。
なのに隣の女子高生からするいい匂いにはすぐに気が付く。僕はそんな奴。
学校が終わって部活に入っていない僕はぼんやりと午後の空いた時間の電車に乗って帰る。
その日はいつもよりちょっと電車が混んでいた。乗った時はいつも通りだったんだけど、どうやら団体旅行か何かのおじさんおばさんと同じ車両に乗り合わせてしまったらしい。僕は運よく車両の端の三人掛けの座席のいちばん端に座ることが出来た。おじさんおばさんはドアを挟んで向こう側の七人掛けの座席のあたりを占拠している。騒がしいったらありゃしない。
次の停車駅で女子高生が乗って来た。騒がしい団体に目を向け、僕の隣の席が空いているのに気が付きそこに座る。存在感のない僕の隣にはどんな人でも平気で座る。女子高生の制服は僕が通う学校のとは違う制服だった。
僕は騒がしさに耐えかねてイヤホンで音楽を聞いていた。実は少しピアノが弾ける。小さい頃に親に習わされていた。楽しくはなかったけど特に行くのを嫌がる理由もなくて何となく続けていた。おかげで今でもある程度は弾ける。多分、叔父さんが僕を拾ってくれたのも小なりとはいえ芸能事務所だからピアノの腕が何かの役に立つこともあると思ってのことだと思う。
ピアノの音は好きだ。澄んでいて、それでいて弾く人の心をよく映す。激しい曲や楽しい歌から優しいメロディまで、何でも期待に応えてくれる楽器だと思う。弾く人次第なんだろうけど。
ともかくピアノが好きで流行の曲には疎かった僕はピアノがメインのジャズを聞いていた。いつかこんなふうに弾けるようになりたい。他の楽器とセッションしてみたい、と。
いつか僕も気の合う仲間と一緒に音楽がやれたら。
そう思いはするものの、そこまでピアノが上手なわけじゃないし、何よりも社交性の低い僕にはそんな仲間がいない。
はあ、と溜息を一つ落として窓の外に目を向ける。夏特有の大きな雲が空に浮かんでいた。
外に目を向けて初めて電車が動いていないのに気が付いた。イヤホンを外して車内アナウンスに耳を傾けてみれば、どうやら少し前に事故があって運転間隔の調整のために停車しているらしい。
そんなこともすぐに気付かないほどぼんやりと、中身のない高校生活を僕は送っていた。
なのに隣の女子高生からするいい匂いにはすぐに気が付く。僕はそんな奴。