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蝶が舞う時
第18章 苦悩
8月の最後の週に入り、菜摘の夏期講習も残すところ2日となった。
今日は第2回目の公開模試の日。
何時もの様に朝菜摘を車で送り、夕方迎えに行った。
菜摘は俺の車に気がつくと、玄関を開けて出てきた。
車に乗り込む菜摘の表情は、前回よりは険しくなかった。
「お疲れ、どうだった?」
「相変わらず難しかったけど…前よりはいいかな…」
「そうか、良かったなぁ…」
「明日の進学相談でもう結果がわかるみたい。」
「明日は何時だったかな?」
「午後3時になってた。おじさんも一緒よ。」
「ああ…一緒に面談を受けるよ。」
次の日、俺は午後3時前に予備校に着いた。
玄関に入ると菜摘が俺を待っていた。
二人で面談室の外にある椅子に腰掛けて順番を待つ。
しばらくしてドアが開き、生徒と母親らしき女性が出てきた。
その後、中年の男性がこちらを伺い
「中村 菜摘さん?」
「はい。」
「中へどうぞ…」
俺と菜摘は面談室に入った。
机を挟んで2名の男性がにこやかに迎える。
俺と菜摘は正面の椅子に座った。
「初めまして、クラス担当の佐藤と進路部長の飯沼です。」
「初めまして、東条と申します。」
「あの…失礼ですが、中村さんとの関係は?」
「はい、この子の両親が既に他界しまして、遠縁にあたる私が親代わりをしております。」
「そうでしたか…」
「さっそくですが、昨日の模試の結果です。」
俺達に成績表が渡された。
「前回に比べ、数学と英語の得点がかなりアップしました。」
「選択の化学と生物もそれぞれ20点位の上積み。」
「国語と社会についてはほぼ前回と同様。」
「えーと、志望大学は○○大の医学部でしたね。」
「はい。」
菜摘は少し緊張している。
「まだ最終的な全国集計は終わってませんが、偏差値からしてB判定ですね…」
「Bですか?」
俺は再度確認した。
「はい、合格確率が75~50%…」
「前回は確かDだったかな?」
「はい。」
菜摘が答える。
「正直、約1か月でこれだけ伸ばすのは普通困難ですが…」
「おそらく、高校時代の基礎がしっかりとなされていたのでしょう。」
俺は単刀直入に聞いた。
「先生、可能性はありますか? 本人は他の選択肢を考えないので…」
「勝算はあると思います。但し…」
光が見えた…
今日は第2回目の公開模試の日。
何時もの様に朝菜摘を車で送り、夕方迎えに行った。
菜摘は俺の車に気がつくと、玄関を開けて出てきた。
車に乗り込む菜摘の表情は、前回よりは険しくなかった。
「お疲れ、どうだった?」
「相変わらず難しかったけど…前よりはいいかな…」
「そうか、良かったなぁ…」
「明日の進学相談でもう結果がわかるみたい。」
「明日は何時だったかな?」
「午後3時になってた。おじさんも一緒よ。」
「ああ…一緒に面談を受けるよ。」
次の日、俺は午後3時前に予備校に着いた。
玄関に入ると菜摘が俺を待っていた。
二人で面談室の外にある椅子に腰掛けて順番を待つ。
しばらくしてドアが開き、生徒と母親らしき女性が出てきた。
その後、中年の男性がこちらを伺い
「中村 菜摘さん?」
「はい。」
「中へどうぞ…」
俺と菜摘は面談室に入った。
机を挟んで2名の男性がにこやかに迎える。
俺と菜摘は正面の椅子に座った。
「初めまして、クラス担当の佐藤と進路部長の飯沼です。」
「初めまして、東条と申します。」
「あの…失礼ですが、中村さんとの関係は?」
「はい、この子の両親が既に他界しまして、遠縁にあたる私が親代わりをしております。」
「そうでしたか…」
「さっそくですが、昨日の模試の結果です。」
俺達に成績表が渡された。
「前回に比べ、数学と英語の得点がかなりアップしました。」
「選択の化学と生物もそれぞれ20点位の上積み。」
「国語と社会についてはほぼ前回と同様。」
「えーと、志望大学は○○大の医学部でしたね。」
「はい。」
菜摘は少し緊張している。
「まだ最終的な全国集計は終わってませんが、偏差値からしてB判定ですね…」
「Bですか?」
俺は再度確認した。
「はい、合格確率が75~50%…」
「前回は確かDだったかな?」
「はい。」
菜摘が答える。
「正直、約1か月でこれだけ伸ばすのは普通困難ですが…」
「おそらく、高校時代の基礎がしっかりとなされていたのでしょう。」
俺は単刀直入に聞いた。
「先生、可能性はありますか? 本人は他の選択肢を考えないので…」
「勝算はあると思います。但し…」
光が見えた…