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蝶が舞う時
第20章 究極の依頼
エレベーターが3階で止まり扉が開いた。

正面にナースステーションがあり、4人の看護師が忙しそうに作業をしている。

ナースステーションの隣はガラス張りの新生児ルームへと続く。

新生児ルームでは、20台のベビーベッドが二列に整然と並べられ、その内17台に新生児が横たわっている。

俺は桂菜と奈菜を探していると、右端に4台の保育器があり、その中で寝かされていた。

俺はガラス越しに保育器の桂菜と奈菜を見つめる。

他の新生児に比べ、低体重のためにかなり小さく感じる。

育つのだろうか…

エレベーターが開き、若い夫婦がやってきた。

「あ、いたいた。ほら二列目の左から3番目。」

「お、元気そうだな。」

「やはり目はあなたにそっくり。」

「鼻と口元はお前に似てる。」

「あなた見て、右の保育器、名字が同じだから双子ちゃんね。」

「双子の女の子か? 可愛いなぁ…」

「そうだけと…でも大変よ。一人でも育児は大変なのよ。」

「旦那がいるだろう…」

「旦那は仕事があるし、細かいところは男の人は出来ないわ…」

「私だったら実家のお母さんに来てもらう…」

俺は二人の会話を聞き流していた。

若い夫婦はそれからエレベーターに向かい、そしてこのフロアーから去っていった。

菜摘には既に母親はいない…

頼れる父親も存在しない…

菜摘はいずれ夫も失ってしまう…

エレベーターのボタンを押した。

1階からエレベーターが上がってきて扉が開いた。

中に入ると1階のボタンを押す。

( 私だったら実家のお母さんに来てもらう…)


問題は俺が死んだ後だ…

菜摘を精神的に支え、桂菜と奈菜の育児を手助けする…

誰かに俺の意志を引き継いで欲しい…


エレベーターが1階に着き扉が開いた。

病院の前で待機していたタクシーに乗り、マンションに向かって行った。

タクシーの後部座席に座って外を眺めていたら、突然背中から激痛が走った。

息が出来ないほどの痛みで俺はうずくまった。

運転手がバックミラー越しに俺の様子を伺い、

「お客さん、大丈夫ですか?」

俺はやっとの声で

「大丈夫…ちょっと持病が有るから…」

俺は痛みに耐えながら身体を起こした。


思ったより早いかもしれない、急がなければ…

俺は唯一のカードを使うことを決めた。

究極のカードを…





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