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蝶が舞う時
第8章 美咲
俺はコーヒーを口にし、煙草を吸いながら無言でいた。

「おじさん、今日から美咲ちゃん、泊まる処がないの。」

その次の言葉は判っている。

「何とか数日でもおじさんの処に…」

美咲はうつむいたまま、時折俺の顔を伺っている。


「美咲ちゃん、おじさんの家は2LDKで狭く、菜採とも一緒に暮らしている。」

「なので、3人が住む様なスペースになってない。一時的な滞在であれば何とかなるが、長期は無理だ。」

「菜採がお世話になったし、美咲ちゃんの状況も理解はできる。」

「一時的な滞在の中で美咲ちゃんは、家に帰ることを考えること。」

「その提案で良ければ、数日滞在しても構わない。」

「それから、刹那的な判断や行動はもう止めた方がいい。出会い系サイトなんて、特に10代の女の子にはハイリスクだ。最悪犯罪に巻き込まれるよ。」

「美咲ちゃん、どう? おじさんの提案?」

美咲はゆっくり顔を上げて頷く。

「お願いします…」

「おじさん、ごめんね、菜採のために迷惑かけて…」

「仕方ないだろうが。菜採が世話になった子だし、俺は菜採の保護者だしな。」

俺は笑いながら、二人を見つめる。


会計を済ませ、店の外に出ると

美咲は

「あの…コインロッカーに荷物があるので…」

「じゃ、菜採一緒に行ってあげれば。俺は車を持ってくる。」

菜採は頷くと、美咲と共に駅の方向へ歩き出す。

「ああ、菜採!ちょっと」

菜採は戻って来ると、俺は1万円を渡し

「美咲ちゃんの着替えとか必要ならこれで。」

菜採は微笑んで受け取り、美咲の方へ向かった。


小一時間ほどして、買い物袋を持った菜採とキャリーケースを抱えた美咲が、車に戻ってきた。

「おじさん、ごめんね、待った?」

「いや、そんなに。それより晩御飯は何する?」

「久しぶりにおじさんのカレーが食べたいな!」

「Ok、美咲ちゃんは?」

「はい、カレーでお願いします…」

「じゃ、スーパーで食材を買って帰ろう。」


俺はいつもの食品スーパーへ車を走らせた。





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