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《愛撫の先に…②》
第2章 菜々美は菜々美
『アンタが参加した合コンの日から啓輔はあたしの要求に応えなくなった、
だからゴムの代償代わりはアンタしかいない』

あたしが参加した合コンなんて1回だけ、
高瀬さんとあの男達がいたあの?
参加したというより気がついたら店にいたあの合コンの日から‥‥って?

『何で知って…』
結城さんが喋るわけない!

『深夜1時過ぎ入ったバーカウンターで酔った慶子が初対面のあたしをつかまえて喋ってたからじゃない。
共通点が結城啓輔ってだけでお友達になって。
あの日から結城はあたしの要求に応じなくなったからアンタがあたしの財布になりなさい』

『欲しい物はご主人様にお願いしたらいいと思いますが…』

『ヒモの結城に言うから面白いんじゃない』
女は顎をあげ髪を払いバカにしたように菜々美を見る。

『ヒモなんかじゃ、ヒモなんかじゃないわ!』
菜々美は鍵を握りながら言う。

フロントから見えない従業員専用のドアが開き結城の足音が近付いてくる。
『菜々…江崎様、
鍵を受け取っているなら部屋でおくつろぎください』

頷き歩き出した菜々美だが5歳男児がソファーから滑り降りる際に転んだ為に、側に行き助けおこし無意識に髪を撫でた。

『泣かない泣かない』
菜々美は男児に言いながらヒモ発言への動揺を打ち消すよう自らにも言いきかせるように。

『あたしの子供に触らないで!』

――あの人の子供?

『たしか君の依頼はこの子とぴったり合う』

『啓輔そうよ、
不良品のゴムのせいで婚約者であった旦那に責められた子供よ』

『その事はもうさんざん話したはず…お客様の前でこんな話をすべきではない。外へ行こうか』
結城は歩き出す。

『江崎菜々美を財布がわりにしても?
振り向いた――やっぱり啓輔はヒモでいいのよ!』
女は口に手をあて勝ち誇ったように笑う。

『ヒモだと決めつけないでほしいねっ!
お客様、俺は誠意を尽くしたつもりです』
結城が女を見据える。
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