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《愛撫の先に…②》
第2章 菜々美は菜々美
20時40分、菜々美の帰宅からわずか数分後場所を建物の裏手に移動し、
子供に聞かせる内容でない事から男児はフロントに預けている。

結城に館内入るよう言われたが菜々美は彼らについてきていた。

『江崎様には何ら関係のない事で巻き込まないでいただきたい』

『だったら今までどうり言う事を聞けばいいのよ、
ヒモはヒモらしく!
あたし欲しい物でストレス溜まってるの――わかるでしょうっ?啓輔っ!
あなたがあたしの要求を無視するからっ!』

『俺はヒモではない、
ゴムの過ちは後々きちんとした誠意をみせ―』

『足りないのよっ!
あたしはブランド物や新作でいち早く流行を取り入れたい!
新作は続々出る、ブランド物はお金がかかる!
啓輔――
オーナーの肩書きらしく黙って出せばいいのよ!
ヒモはヒモらしく!』

ひどい!
ひどい!ひどい!

菜々美は女の方へ走り出していた。
『結城さんへ謝ってくださいっ!』

女が振り向いた際に腰までの長い髪が菜々美の手をかすめた。

『――!!』
髪‥‥‥‥
菜々美はハッとし意を決したように女を見据えた。
『結城さんはヒモなんかじゃない、ヒモなんかじゃないんです!』

『菜々美っ、
君を巻き込みたくないから部屋にいなさい』
勤務が終わっているとはいえ接客業お客様ありき、
恋人とはいえ名前に様をつけていたが菜々美を名前で呼んだ。

『菜々美ですって、
ただのお客でない事を白状してるもんじゃない?
慶子が可哀想』
女は大げさにため息。

『相沢さんは彼氏がいるわ、そしてあたしはスイートタイムへ宿泊費を払っています。
ちゃんとしたお客様だわ』
一気にまくし立てる菜々美は少し震えていた。

『お客様ねぇ、どうだか知らないけど』
女は結城と菜々美を見比べた。

『菜々美もういい…』
カッとしやすい女の性格を知っている結城は言うなといわんばかりに首を振る。

『言わせて!
結城さんを守る為に!
あなたの息子さんは結城さんの子供ではないわ!
だ、だから結城さんを自由にしてあげてください!
――結城さんはヒモなんかじゃない!』

言った‥‥‥
あたし言ったわ!
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