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《愛撫の先に…②》
第2章 菜々美は菜々美

――
とある夕方、菜々美は後ろから呼ばれ振り向いた。

『矢嶋先輩!?』
『さっきから店頭に貼ってある情報を眺めちゃって引っ越し考えてんだ?』
『まだ、あの…』

10分後移動し2人はファーストフード店にて向かい合わせで座りコーヒーを飲む。
『聞かせてくれない?』

※回想※
スイートタイムの建物外から言いがかりをつけられた菜々美は顔色を変えた。
『泊まんの?予言はやめたって話だけど』
『相沢さんあたしをつけて…』
『そう考えんならそれでもいいけど結城啓輔を独り占めするなんて陰険っ』
『あたしは結城さんの――』
『マンションに帰りなさいよっ!』
相沢は手を振り上げ菜々美は殴られるかと目を閉じるが阻止されたようだ。

『お客様お泊まりですか?』
結城が相沢の手首を掴んで営業の顔で感情をセーブしているかのような喋り方になる。

『あたしに予言してくれんの?』
『やめたと言ったはずですし館内入り口での立ち話は他のお客様にご迷惑かと思われ、
お泊まりになるのでしたらフロントで手続きを致しますが』
『あたしと寝てよっ!』
『お帰り願えますか?』

結局相沢は有無を言わせない結城の態度に渋々帰る事になり、その夜結城はパソコンで空き物件がないか検索する。

『結城さんあたしいいの』
『何故?君を守る為にスイートタイムを出た方がいい』
菜々美は首をふった。

『スイートタイムでは予言を諦めない今みたいな場面が予測される、
君をチェックインの度に怯えさせたくはない』
『でもっっあたしなら――』

パソコンを閉じた結城にウエストを引き寄せられキスをされ。
『菜々美を怖がらせたくはない――守りたいから』
切なそう言われれば菜々美は頷いてしまっていた。


※回想終わり※

『あたしを守る為に結城さんはスイートタイムを出るっていうから仕方なく物件を…』

『マンションはどうすんの?相沢という女からずっと逃げんの?
同じじゃない』

『―――、逃げたくはないけど…先輩失礼します』
菜々美はトレーを持ち席を立った。

『ちょっ、携帯忘れて…、――携帯小説書いてんの?』
矢嶋は彼女の携帯画面を見ておもしろそうな顔をした。
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