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《愛撫の先に…②》
第1章 あたし磨き
「あいつ」―――…
親しみを込めた呼び方に胸が痛い!
長年のつき合いだと思わせる特別な「あいつ」――

『また難しい顔をしている』
右隣に座りソファー背もたれに左腕の気配に菜々美は顔をあげ彼を見た。

『難しい顔なんてあたし…』
『菜々美ちゃんどうしたんですか?』
励ますかのように左肩を軽く叩かれるしぐさに、
結城の翔子の呼び方に悪気はなく自然な響きだと感じられて。

『あたしの事は菜々美ちゃんなの?』
泣き出したい気持ちを隠し無理やり笑い言った彼女。
『連絡なしで突然泊まりに来るから嫌な事ありましたか?
いつもなら予約して来るから君らしくないっていうか、でも時々はこんな菜々美もいいかな』
『結城さん…』

『君がいつ来てもいいようにプリンは隣ではなく、
この部屋に置いていたんですよ』
『あたしを待つように?』
『君は電話もメールもして来ない遠慮がちな態度だからこそ、
時々は今日みたいにいきなり泊まりに来る菜々美も新鮮でかわいいよ』
『…言葉攻め?』

『君はもっとわがままになっていい』
『わがままに…
相沢さんみたいに押しかけて…』

『エレベーターの中からキスをされ飛び込み依頼人だからと予言し寝ていた。
だが2度目には普通に2007ではない客室に案内したが彼女みたいな強引さは君には求めてはいない』
『相沢さん2度も押しかけて…』

『普通に宿泊するなら何の問題もありませんよ、
菜々美…他の女の話をしたいですか?
俺は下心見え見えな女は嫌いで、
翔子や菜々美みたいな控えめな女がそそられるのをわかっていますか?』
『翔子さんとあたし?』

嫉妬してる…――!

『あぁ…だから好きになった、翔子も君も――』

彼の手からカードが足元に落ち拾い上げテーブルに置く、
彼女はメッセージを読んでいた。

※《啓輔くん電話以来ね。今家族で牧場に来ていてプリンで癒されたとこなの。この美味しさを伝えたくて。
中谷翔子より》

また嫉妬―――…
啓輔くんって………!
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