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《愛撫の先に…②》
第2章 菜々美は菜々美
『結城さんその書類…具合………悪いの?』
『!――遅刻しますよ』
『検診……ってハガキにも書いてあったわ』
『たいした事ではない』
検診を黙っておこうと思っていたが車のキーをポケットから出しドアに向かう結城の後ろ姿を目にすると、次にいつ問いただせばいいのか?――そう思った事から菜々美は口にしたのだがまたもやはぐらかされてしまった。
その出来事から仕事も上の空の菜々美へ陽子はランチに誘い会社を出るが、
部所は違うが同期の男性も加わる事になりランチをするエリアとは別の方向へ同期の車に乗り15分の蕎麦屋に入った。
『ちょっとっ、会社から15分の場所なんて食べる時間なんてないじゃない』
って車内で言っていた陽子も思いの外蕎麦が美味しかったらしく昼からの勤務に間に合えばいいと車のドアに手をかけた。
『あ………』
『菜々美乗らないの?』
後部座席に座った陽子が隣を示す。
『翔子さん……なんで?』菜々美は蕎麦屋から少し離れた通りの前方を見てしまった。
見たくない!
矢嶋先輩の話ではこの街から遠く離れた場所に翔子さんは住んでいると、
あたしには関係ない!
ドアを開ける瞬間だった、菜々美の動きが止まる――。
『啓輔くんっ、弱いんだから』
視線をそらした方向から人々の会話の中でも聞いた事のある声なら彼女だと認識してしまうらしい。
「啓輔くん」と翔子さんは言ったし彼女は結城さんをそう呼ぶの――!
建物から出てきたのはまぎれもなく結城、
手すりに手をついてうつ向き加減の彼の頭を撫でてあげているのは翔子、
スラックスのまわりにまとわりついているのは希美になる。
翔子は結城より背丈が低いが彼が身をかがめうつ向いている事から手をのばすのもちょうどいい。
『啓輔くんったら弱虫なんだから、クスクス』
『だからって人を子供みたいに…』
『あたし一児のママだもの、啓輔くんが怖がるのわかってたから診察待っていたの』
見たくない!
聞きたくない!
菜々美は勢いよくドアを閉め車内で泣き、
終業後はスイートタイムには帰らずマンションへと向かった。
聞きたくなかった…
見たくなかった…
『!――遅刻しますよ』
『検診……ってハガキにも書いてあったわ』
『たいした事ではない』
検診を黙っておこうと思っていたが車のキーをポケットから出しドアに向かう結城の後ろ姿を目にすると、次にいつ問いただせばいいのか?――そう思った事から菜々美は口にしたのだがまたもやはぐらかされてしまった。
その出来事から仕事も上の空の菜々美へ陽子はランチに誘い会社を出るが、
部所は違うが同期の男性も加わる事になりランチをするエリアとは別の方向へ同期の車に乗り15分の蕎麦屋に入った。
『ちょっとっ、会社から15分の場所なんて食べる時間なんてないじゃない』
って車内で言っていた陽子も思いの外蕎麦が美味しかったらしく昼からの勤務に間に合えばいいと車のドアに手をかけた。
『あ………』
『菜々美乗らないの?』
後部座席に座った陽子が隣を示す。
『翔子さん……なんで?』菜々美は蕎麦屋から少し離れた通りの前方を見てしまった。
見たくない!
矢嶋先輩の話ではこの街から遠く離れた場所に翔子さんは住んでいると、
あたしには関係ない!
ドアを開ける瞬間だった、菜々美の動きが止まる――。
『啓輔くんっ、弱いんだから』
視線をそらした方向から人々の会話の中でも聞いた事のある声なら彼女だと認識してしまうらしい。
「啓輔くん」と翔子さんは言ったし彼女は結城さんをそう呼ぶの――!
建物から出てきたのはまぎれもなく結城、
手すりに手をついてうつ向き加減の彼の頭を撫でてあげているのは翔子、
スラックスのまわりにまとわりついているのは希美になる。
翔子は結城より背丈が低いが彼が身をかがめうつ向いている事から手をのばすのもちょうどいい。
『啓輔くんったら弱虫なんだから、クスクス』
『だからって人を子供みたいに…』
『あたし一児のママだもの、啓輔くんが怖がるのわかってたから診察待っていたの』
見たくない!
聞きたくない!
菜々美は勢いよくドアを閉め車内で泣き、
終業後はスイートタイムには帰らずマンションへと向かった。
聞きたくなかった…
見たくなかった…