この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
《愛撫の先に…②》
第2章 菜々美は菜々美
―
――
『…ん…、朝…?』
菜々美が目を覚ますとハムエッグのいい匂いがした。
『あれからよく眠れたようですね、
――ふふっ、俺のバスローブをしっかり握りしめて』
『!、バスローブ?』
右手に男性用Lサイズの黒いバスローブを握りしめている菜々美は謝っていた。
『構わない、
それで眠れるなら…また、つらい夢を?』
『結城さんに起こされてからは少しだけ…少しだけ夢を引きずって…だけど朝まで眠れたわ…見に行った白い壁の家に寝転んでた』
『白い壁の家は現実になるんですよ』
『ん…』
『朝食をしっかり食べて仕事頑張ってきなさい』
『はい、結城さん』
ワイシャツにネクタイにエプロンの結城・白いバスローブ姿の菜々美の向かい合わせの朝食。
『寝坊しちゃった…』
『かわいいですよ』
うなされて起きる夢も隣で心配し起こす彼が居るなら――守られている…――
菜々美はそう思いスープを飲みながら目に涙を浮かべた。
結城さんいつかあたしと砂浜を歩いてください…――
***
[引っ越そうか]
結城と菜々美をよく思わない相沢の度重なるマンション待ち伏せがきっかけとなった。
物件を見て決め契約者は結城啓輔であるが2人で住むにはちょうどいい、
菜々美が夢に見た白い壁の一軒家。
夢が現実になる日が近い事を物語るように菜々美はマンションで荷造りを始めていた。