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《愛撫の先に…②》
第2章 菜々美は菜々美
どしゃ降りの雨は昼前には止み社食で済ませる予定が変更になった事を菜々美は知らなかった。

『菜々美電話したのに出ないしメールしたのにロビーに来ないからっっ』
探しまわったらしく陽子が廊下にいた菜々美に声をかけた。

『電話?メール?――あっ!朝結城さんが間違えて持って行っちゃたの』
菜々美は息を乱し探してくれた陽子に謝った。

『えっ?結城さんが菜々美の携帯持ってるの?何で?彼氏でもあたし携帯貸すの無理っ』

朝の結城の不機嫌さと出勤前の慌ただしさから間違えて持って行ったのだと菜々美は陽子に説明した。
会社を出ると太陽の陽射しが眩しい。

どしゃ降りさえなければ結城は普通に出勤していただろうし朝の些細な言い争いもなかったであろう。

『まさか勝手にメール見たりはしない?』
陽子が何故か焦っているかにみえた菜々美はどんなメールを打ったのか怖くなる。

『まさか結城さんに限ってあたしの携帯をそんな…』
いやはや100パーセントみないとは限らないのだ。
『菜々美ごめん!お店の名前を打っちゃった…』
陽子は手を合わせごめんごめんと謝る。

『なんだ、陽子謝んないで』
菜々美は笑った。

『うん…』
陽子はまだ手を合わせていた。

翔子さんの事じゃないなら平気。

菜々美は陽子がひたすら謝っていた訳が店を前にしてわかってしまった。

たまごホリックを覗くとやたら不機嫌そうに食べる金髪の男性がいたからである―――…!

何故?結城さんが―――…!?
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