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《愛撫の先に…②》
第6章 この身を持って…
捕まりたくねぇしヤりたくない、というたまごホリックは奈々美の結城をかばう言葉に嫉妬するように歯を食いしばり振り向いて彼女を睨んだ。

『奈々美犯されてもいいとか忘れんなよ』
そう言いたまごホリックは結城をみながら大股で近づいて、胸ぐらのあたりをギュムッと掴んだ。

背は結城の方が10センチ高い為に胸ぐらを掴んでいるとはいえ見た目不格好だが、たまごホリックは憎しみを込めてダッシュしたカタチになる。

『ほらほらどうだ、遊んでやらあっ』
グイッと生地を引っ張るが生地はワンランク上のワイシャツにダメージさもなく、たまごホリックは悔しく力任せにネクタイの結び目を引っ張る。

結城は相手の両手を掴みギリッと力を加えるとたまごホリックの動きが止まる。
『どうしましたか?それがあなたの力ですか?』
結城の口元が少しだけあがりフッと笑う、それは相手を思いやる笑いではなく怒りであった。

『…バカにしやがって!犯されてヒイヒイ泣く羽目になっても知んねえしっ!』
たまごホリックは恥をかかされたといわんばかりに顔を赤くしたが頬を染めたのではなく高揚したのである。

たまごホリックは体をねじる形で結城の手を振りほどきネクタイの結び目を掴み緩め地面に叩き落としスニーカーのつま先で踏み、光沢のあるそれが靴跡で汚れたさまをみておかしそうにケケケッと笑う。

『ネクタイにあたるつもりですか?踏んで気が済みますか?俺のクローゼットにはまだまだそんなネクタイが山程並んでいる、あなたはその数ほど踏むのですか?物にあたるほど見苦しい事はない』
結城はため息をついて素早くネクタイを拾って手で汚れをとりスラックスのポケットに押し込んだ。

『ネクタイが邪魔なんだよ、犯すにはワイシャツからだろ』
幼稚な答えだ。

『スーツもネクタイも俺にとってはお客様を迎える大事なもの、あなたもホールの仕事をしていたならわかるはずです、もっとも追い出されたなら過去形ですが…』
彼は自業自得だといわんばかりにフッと笑う。

『笑うんじゃねぇっ!兄貴に追い出されたのも相手にしない奈々美のせいじゃんっ、愛想よく近寄っても逃げられ素っ気ないのはあんたが奈々美をもてあそんでるせいだろっ』
早口で喋り近づいてワイシャツのボタンを1つふたつとはずしてくたまごホリック。

『それ以上やめて!……やめてよっ』
奈々美が2人に近づいてくる。


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