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《愛撫の先に…②》
第6章 この身を持って…
『結城さんっっ』
心配する奈々美が結城の元に駆け寄ろうとするが結城の片手をあげての制止により立ち止まる。

ふらついた後瞬時に体勢を立て直し身構える結城。

『しぶとい奴っ!貴様実は人間じゃなかったり?笑える〜、人間じゃないなら奈々美とは付き合っちゃいけないんだぜ』
倒れない相手をまるで人間じゃないとたまごホリックの決めつける言葉は心底相手が嫌いなようだ。

『…ふっ…人間ではないとか褒め言葉ではなく負け犬の戯言、俺をヤれないなら奈々美を連れて帰るまでです』
結城が破かれたワイシャツ等を気にする。

『負け犬の…?』
たわ言という単語がわからなかったらしいたまごホリックは語尾を誤魔化し口元をゆがめ、カッターを握りなおし相手に向かっていく。

『また刃物ですか?先ほどと同じシーンが繰り返されるだけですよ?…ふっ…』
語尾のあたりで笑いをこらえられなかった結城はいつでも反撃をかわせるという余裕からボクサーみたいに手足を動かしウオーミングアップ。

たまごホリックはカッターを地面に叩きつけた。

『…カッターは叩きつける物でもなく人を攻撃する物でもなく紙を切る文房具です』
結城はカッターに同情するかのようにそれを拾い相手のくたびれたショルダーバックのあたりに放った。

『いちいちうるさいジジイだなっ!』
たまごホリックは相手の顔めがけ拳をあげる。

『28歳の俺は働き盛りの青年です、息をきらしカッターを振り回すあなたは身体を鍛えた方が良いかと思われます』
結城は拳を手のひらで止め相手の手首を掴んでギリッと力を込め動きを制止させた。

『いたたたたたっ…暴力を振るわれたと訴えてやるっ』
手首を掴まれた事によりたまごホリックが地面に転がるが、ネクタイを手にふらふらよろよろと立ち上がる。

『訴える?それならば先にあなたが訴えられる側です、奈々美をレイプした事でね……』
結城は腹立たしそうにレイプという単語をより強く言った。

『レイプ?バカらし〜奈々美ちゃんはよ「あんあん」喜んでたんだから夫婦の営みだろ、夫婦のい・と・な・みっ!舐めて噛んで揉んで、セックス…あんたさ知らないんじゃんっっ』
たまごホリックは揉むように架空の乳房があるかのように両手の指先をいやらしく動かした。

『戯言の単語すら理解してなかったあなたがセックスの表現力に胸やけでゾッとします』
結城がため息をつく。
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