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《愛撫の先に…②》
第8章 愛撫の先に…

残業なし定時の17時着替えを終え会社を出る時奈々美は昼間公園で思い悩んでいた事で立ち止まる。

『また悩んでる〜、行こっ白い家まで送ってあげる…でもあたしはスイートタイムに帰るのがいいと思うけどね』
陽子が奈々美の手を取り駐車場まで促す。

『いけないのはわかってる…もしかしたら結城さんとすれ違いに……』
奈々美は気にしていた。

『あっ、迎えに来てくれるの?だったらあたしの出る幕ないじゃない〜…でも久しぶりに目の保養にいい男みたかったわ〜』
パチンッと指を鳴らす、あ〜あという感じに空を仰ぐのは久々に結城を観たかったのだろう。

『悩んでる…どうしても翔子さんの顔が重なって結城さんをみていられなくなる…』
最初はゆっくり、翔子あたりから早口にまくし立てる。
相当こだわっているようだ。

『えっと、恋敵の翔子って誰かの奥さんだっけ?悩む必要なくない?結城さんは独身なんだし、ね』
バンッと親友の背中を叩くのは励ましからだ。
駐車場に行くのをやめ立ち止まる陽子。

『嬉しそうに笑うんだもん…嬉しそうに話すんだもん…一緒に住んでた時他の部屋に移って話す時凄く傷ついたもん…だからっ、苦しいんだもん』
奈々美は苦しそうに叫んだ。

『結城さんはあたしのもんだって唾付けときなよ、お揃いの物でも買って身につけなよ』
陽子は携帯をだし写真ホルダーの中の数枚を見せた。
お揃いの手首にはめたリング、お揃いの指輪、部屋着なら恥ずかしくないからと部屋着もお揃い…そういったものを身につけくつろいだ陽子と遥斗の恋人同士幸せそうだ。

『いいなあ…喧嘩なんかしないの?』
ため息、羨ましそうだ。

『喧嘩なんて派手にやっても30分もすると普通に話してる、許せちゃうからさ、もちろん浮気したら許せないけど遥斗やらないし』
平和でしょ、と笑う。

そうこうしていると向こうからシルバーの車が見え少しずつ徐行し路肩に停まる。

おりたのは結城啓輔だった。

帰える為にたむろしていた社員達からきいろい悲鳴めいた声が飛び交う。

『結城さんだわ』
『イケメン〜素敵、誰?』
『知らないの?予言の結城さんよ、サイトには顔を載せていないから無理もないけど超〜有名人よ』

そんな女達のざわめき。
相沢もいた。

そんなきいろい悲鳴めいた声に奈々美は目立ちたくないからとにかく逃げたかった。

『陽子お願い載せて帰ってっ』
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