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《愛撫の先に…②》
第8章 愛撫の先に…
助手席側で奈々美は結城がしゃがむ事により彼から離れたが相沢が2人を追いかけてきていた為に後ずさり後部座席側のドアに手をつく。

『許さないからっ、2人共っ』
相沢は眉をつり上げ口を大きくあけまくしたてている。

『………』
奈々美は服を切られみんなの前で晒し者になった日の事が思い出され震えた。

カチッ、車のロックが解除され彼が運転席に乗り込んだ事、エンジンがかかる。
窓が開いて彼が叫ぶ。

『いつかみたいにこの女から痛い目に遭いたいのか?奈々美早く乗りなさいっ』
この女と結城が言った、ギアに手をかけているのはすぐ加速させたいからだ。

『江崎さんみんなの結城を独り占めする気?』
相沢が奈々美の上着を掴もうとしている。

『………』
背中にすうっと冷や汗が流れるような冷たい感覚、震える手で探りドアを開け滑り込むように後部座席に転がる。

『嘘つきっ、後ろ開いてんじゃん』
相沢がドアに手をかけようとした。

車は加速して相沢からもアサヒコーポレーションからも離れてく。

『奈々美転がっていないでシートベルト、俺が罰せられますから』
彼は後ろを見ずに注意する。

『……ごめ…なさい…』
助けてもらった事と相沢に襲いかかられる寸前という事でやけに素直に座りなおしシートベルトをする。

『あの女…相当つきまとう、どうしたものでしょうね、セックス部屋等とっ、ホテルのイメージダウン…それだけはホテルマンとして広まらせてはならない………』
トントンとハンドルを左指でたたいている、彼は考えているらしい。

渋滞にはまだ早く、だが帰路につき始める車で多少多めではあったが35分過ぎの18時5分にはスイートタイムの従業員駐車場に着いていた。

平日で少なめとはいえ次々とチェックインに並ぶ列を見やり結城は2007と2008の鍵を奈々美に渡し裏から入りフロント業務につく。
それを確認した奈々美はあの日抱き上げられ連れられた裏からの階段をあがる。

お客でもないのにあたし泊まっていいのかしら…
後でお金を払う方があたし自身落ち着くわ…
あの白い家明日はそこに帰ろう…
この間の週末にはあの家を出るんだと荷造りをやり始めたというのに結局行くとこがないから、あの家にこだわって…

抱かれて連れていかれた時は3分くらいだと感じた階段も奈々美だと8分、息を切らし壁に手をつき休む゙。

絨毯の廊下を進む。
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