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《愛撫の先に…②》
第8章 わだかまり…

『奈々美ぃ〜っ、どうしたの〜っ』
2メートル先、人混みの中から顔だけがみえている陽子が手を振る。
今すぐ行く〜と口パクと身振り手振りで返事をする奈々美。
細かい事を注意する翔子の側で陽子に聞こえるような大声を出してはいけない気がしたのだ。
『友達が呼んでいますし休憩時間も後少しなのでこれで…』
奈々美は翔子に軽く会釈し歩き始める。
『私があなたより先輩でしょう、会釈したとしても逃げるようで納得いきません』
彼女はトートバッグをしっかり肩にかけ奈々美の横の上から下まで眺めた。
なんでこういう人、結城さんは優しくてきれいだと言うの?
冷たい人っ!
奈々美は震えながらももう1歩進むが後ろをチラリとみて言う。
『ごめんなさいっ、これでいいでしょうか?』
これでいい、というのは翔子の方を向き45度の会釈をしたからだ。
それでもすぐに頭をあげ歩き出す。
『なってないわ、社員教育…会釈すればいいってものじゃないの…私はただ最後まで小説を書きなさいって事』
腰に手をあてている。
周りの人達が2人を避けて歩いて行く。
『あたし小説家にはなりませんからっっ』
もう捕まらない、とばかりに早足で歩く。
『啓輔にも同じ態度?私からの電話に笑うなって命令したみたいだけど…啓輔くんも可哀想、クラスメートだけだったというのになんて言い草…』
翔子は叫んでいた。
歩く奈々美にもその言葉ははっきりと聞こえる。
あたしが翔子さんからの電話に嬉しそうな顔をしないで、とお願いした事が翔子さんに伝わっていたなんて…
結城さんひどい!
奈々美は待つ陽子を追い抜かし走っていく。
慌てて陽子が追いかける。
アサヒコーポレーション、2階で身だしなみをととのえながら奈々美は先ほどの事を陽子に問われ会話全部を喋っていた。
『奈々美小説なんか書いてたんだ〜、メルヘンチック〜…っていうかほんわか奈々美ちゃんのイメージそのものだけど』
髪をとかしながら言う。
『メルヘンチックとか言わないでよ、あの人じゃないから』
奈々美は先ほどの翔子の野暮ったい服を思い出した。
カジュアルって言えばそれまでだが奈々美はそんな印象は持っていない。
草原を走るイメージだった…
『奈々美の読みたかったな、教えてくんなきゃ駄目じゃん』
赤い口紅を塗りなおす。
『蒼い恋人なんて恥ずかしいもん……』
うつむき赤くなる。
2メートル先、人混みの中から顔だけがみえている陽子が手を振る。
今すぐ行く〜と口パクと身振り手振りで返事をする奈々美。
細かい事を注意する翔子の側で陽子に聞こえるような大声を出してはいけない気がしたのだ。
『友達が呼んでいますし休憩時間も後少しなのでこれで…』
奈々美は翔子に軽く会釈し歩き始める。
『私があなたより先輩でしょう、会釈したとしても逃げるようで納得いきません』
彼女はトートバッグをしっかり肩にかけ奈々美の横の上から下まで眺めた。
なんでこういう人、結城さんは優しくてきれいだと言うの?
冷たい人っ!
奈々美は震えながらももう1歩進むが後ろをチラリとみて言う。
『ごめんなさいっ、これでいいでしょうか?』
これでいい、というのは翔子の方を向き45度の会釈をしたからだ。
それでもすぐに頭をあげ歩き出す。
『なってないわ、社員教育…会釈すればいいってものじゃないの…私はただ最後まで小説を書きなさいって事』
腰に手をあてている。
周りの人達が2人を避けて歩いて行く。
『あたし小説家にはなりませんからっっ』
もう捕まらない、とばかりに早足で歩く。
『啓輔にも同じ態度?私からの電話に笑うなって命令したみたいだけど…啓輔くんも可哀想、クラスメートだけだったというのになんて言い草…』
翔子は叫んでいた。
歩く奈々美にもその言葉ははっきりと聞こえる。
あたしが翔子さんからの電話に嬉しそうな顔をしないで、とお願いした事が翔子さんに伝わっていたなんて…
結城さんひどい!
奈々美は待つ陽子を追い抜かし走っていく。
慌てて陽子が追いかける。
アサヒコーポレーション、2階で身だしなみをととのえながら奈々美は先ほどの事を陽子に問われ会話全部を喋っていた。
『奈々美小説なんか書いてたんだ〜、メルヘンチック〜…っていうかほんわか奈々美ちゃんのイメージそのものだけど』
髪をとかしながら言う。
『メルヘンチックとか言わないでよ、あの人じゃないから』
奈々美は先ほどの翔子の野暮ったい服を思い出した。
カジュアルって言えばそれまでだが奈々美はそんな印象は持っていない。
草原を走るイメージだった…
『奈々美の読みたかったな、教えてくんなきゃ駄目じゃん』
赤い口紅を塗りなおす。
『蒼い恋人なんて恥ずかしいもん……』
うつむき赤くなる。

