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第8章 わだかまり…

奈々美はキーを受け取った際に結城と従業員にとびきりの笑顔で『ゆっくりくつろぎください』と迎えられた。

歩きながら彼女はフロントの方を振り返ると結城と従業員の笑顔とカタカタとパソコンに入力しチャリッとお客様にキーを差し出している。

『きゃあっ、噂どうりイケメンだわ』
『凄い照明に映える金髪ねぇ〜』
等と結城の容姿を観て騒ぐ１０〜３０代とみられる女子高生またはＯＬの女がスマホを取り出しさも今から写さんとばかりに騒いでいる。

『お客様後ろの方が並んでいますので手続きもお済みですからお部屋でごゆっくりくつろぎくださいませ』
営業スマイルの結城がエレベーターの方を手でさし示す。

『手も細くてきれい、並んでるからって離れるけどジッと観ていて飽きない顔よね』
『芸能界からスカウトこないの？あたし一番にファンになるぅ〜』
ＯＬや高校生はそう甲高い声で騒ぎ色めき立つ。

そんな光景は次から次へと観られる光景で奈々美はジッと立ちつくし観てしまっていた。

そういえばスイートタイムを知った頃には結城さん騒がれていたわ…
相沢さんみたいに結城さん観たさで泊まりに来るＯＬさんがとても多いと知った…
片思いばかりのあたしからすると笑顔で話すだけで騒がれまるで芸能人みたいに思えて遠い人のような…

『あんたジロジロフロントばっかみてないでサッサと部屋に行ったら？そこに立たれると思いっきり目立つのよ』
突然宿泊客の１人に言われ奈々美は思いっきり後ろに下がった。

結城とお客との手続き等の会話に聞きいっていたのだ。

あたしったら…
『ごめんなさい…』

宿泊客らはそんな奈々美に見向きもせずにエレベーターに乗り込んだ。

彼女はエレベーターを使わずに階段を使って部屋まで上がる頃にはゼーゼーとあらい息をして廊下に座り込んだが忘れ物をし１階に戻る。

「トレーニングだ」
不意に奈々美は彼女を腕に抱き階段を上がる結城を思い出していた。

さっきの人達は抱かれて階段をのぼり運ばれるシチュエーションなんて喜ぶのよね、きっと…
あたしはそれがあたりまえのように？

嫉妬するかしら？
あたしが抱かれて部屋に連れていかれたなんて知ったら今の子達は嫉妬するかしら？

これがあたりまえでなく特別な事だって…
フロント業務を抜けてあたしを迎えに来てくれた
普通ではない事わかってるけど素直にありがとうがいえない…