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第8章 わだかまり…

『気を使わせてすまない、だけど俺に構わずお客様が君に話かけているのだから普段のとうり任務に忠実でいてほしい、いつものように頼りにしているよ』
結城は従業員に笑みを浮かべる。

『頼りにしているよ、なんて…オーナー…』
従業員は目線を横にずらし口を少しだけ開け少しだけうろたえるが１人のお客様がキャリーケースを転がし入って来るのを見やり笑顔で迎えている。

さすがだな、そういう表情で結城がフッと笑う。


場所は変わり奈々美の部屋。
シャワーを浴び風呂後バスローブ姿の彼女は先ほどコンビニで買ったパスタをレンジで温めテレビをみながら食べ始めた。
送ってもらい部屋に入った時には落書きのせいで落ち込んでいたが仕事終わりと空腹には勝てないのか１人で過ごすのと変わらないコンビニご飯が待ちきれなかったようだ。

美味しっ
１日仕事してあの落書きだもん…
神経すり減るっ、人の気持ちも知らないでっ
考え事してても空腹には勝てないっていうのかな…

おにぎり・サンドイッチも食べきり烏龍茶をごくごく飲んで満足気に空のペットボトルをテーブルにおいた。
テレビをみてアハハと笑い雑誌をパラパラみる。

『仕事終わりのこの時が一番だわ〜…落書きなんてすぐに消えるものじゃないしひと気のない時をみて残りの荷物を出せばいいんだ…今日は布団に入って寝ちゃおう』
コンビニのトレーを流しに持って行きトイレを済ませベッドへ入る。

気持ちいい…
布団最高〜…

…
……何分たったのか何処からか洗い物の音がする。
そしてバスルームのドアがあきシャワーの音。
そして何かを茹でるいい匂いがしてきた。
余り物をジャッジャッと炒める音。

音量を小さくしたテレビの音、カチャカチャと皿にフォークがあたる、スープを飲む。
そして洗い物のカチャカチャという音。

ギシッとベッドに手をつく、彼女の傍らに座る。
時刻は２２時を過ぎていた。

『コンビニご飯ですか、奈々美…俺に言えば…従業員に言えばホテルのディナーが食べられるというのに…何が気にいらない？』
結城は眉間にしわを寄せつぶやいた。

『起きないんですね、…俺の従業員にも余計な気を使わせる等かわいくないですよ…』
彼は乾かした髪をかきあげ上を向いた。

台所に食べたコンビニのパスタトレー等があった…
黙ってそれを洗って分別し片付けてからのシャワー…
気楽なもんだな奈々美…