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《愛撫の先に…②》
第10章 結城と奈々美
『ごめんなんて簡単に言えない…』
ごめんね〜、なんてパッと言えるほど奈々美は結城に許し合えるつき合いをしていないからおじけづき迷うのだ。

『何ヶ月も前に課長のおつかいにパウンドケーキを買いに行った事覚えてるかな?人目も気にせず泣いちゃってあの頃の奈々美可愛かったよ』
思い出したのかフフッと笑う陽子。

『あんな昔の事っっ』
言われて始めて思い出し口を尖らせる。

『あの頃結城さんが結婚してるのかと思って泣いたんでしょ、店先でしゃがんでパンツ見えるのもお構いなしで、アハハッ、可愛い、結城さんに喋っちゃおかな〜』
笑い続ける陽子はソファーをバンバンたたいているようだ。

『ひ、ひどい笑うなんてっ』
消し去りたい場面のひとつなので赤くなる顔、うつむく。

『今の奈々美は可愛げがないのよ、素直に結城さんの胸に飛び込んでみなって、喜ぶと思うよ』
ふふふっとまだ笑っている、本気なのかふざけているのかわからない。

『ちょっ、陽子っ、からかわないでよ』
ふてくされる奈々美。

洗濯が終わったという事で電話は終わりとなる。
再びシンとした部屋、1人だという空気が彼女を淋しくさせテレビをつけチャンネルを続けざまに変えてく。

『面白い番組なんてない、笑える番組作ってよっ』
彼女はまた膝を抱えた。

親友に陽子がいても会社で会うだけ、メールやラインで繋がってるだけで仕事や買い物やランチでのつき合いから離れると誰も喋る人がいなくなり部屋の中で無を感じるのだ。

『淋しい……』
ブルッと震え彼女は布団へと潜り込んだ。

淋しいと思う程に彼女の生活が毎日ワンパターンになりつつあるからだ。

✜ ✜ ✜

いつものように夕食を食べてから帰宅する為に20時をまわっていてフロントには翔子と希美がいるのを確認し、奈々美は玄関の建物の陰に隠れていた。

よく聞こえない…
寒っ…

震える奈々美は両腕を抱きしめるように寒さを紛らわそうとしたが関係なかった。
ガサッという音に身体を真っ直ぐするくらいにビビる彼女はもしやたまごホリックかと違う震えが身体を駆け巡る。

『うん、わざわざ将也のお土産をありがとう、帰り気をつけて、送っていきたいけどまだ仕事中で…ごめん…』
フロントから出て玄関で手を振って見送る結城は笑顔だった。

ごめん、ってとっても簡単に言うのね…
翔子さんだから?
奈々美は唇をかみしめた。
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