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《愛撫の先に…②》
第15章 握る小さな手…
その夜、2008。

部屋に入るなり奈々美は翔子との再会で過去に数回会話をした高飛車で上から目線の物言いに意気消沈で、勘づいた結城のねぎらいの車内でのキスに我慢という文字が溶け出すかのように泣いた事を少し恥ずかしい思いだった。

『奈々美コートとワンピースを脱いでシャワーを浴びるといい』
コートをハンガーにかけリーズファブを数回でにおい消しをしている結城。

『…なんで啓輔さんは翔子さんが優しいと思うの?』
スーツを脱いでいるとワイシャツにシワが出来るのをボ〜ッとみながら言う。

ぜい肉のない引き締まった身体、脱いだり着たりすると胸板と腕の筋肉がわかるようなワイシャツのシワの動きを目で追って奈々美はなんでこんなスーツがキマる人があたしの彼なんだろうと結婚を決めた今でも不思議に思う。
胸板と腕の筋肉、とあるが筋肉バカでも筋トレオタクでもない。
結城はただ体力づくりの為の最低限のジム通いなのだ。

『出会った頃から勉強が出来て優等生という印象だからああ言った喋りも仕方ないのかもしれませんね、思った事を貫こうとするタイプでもあるし…ただ俺と将也と3人でいて彼女もくだけた喋りをし始めたんですよ』
ベストを脱ぎスルッとネクタイもとりワイシャツのボタンを外してく。
身につけているワイシャツにスラックスは上質なものなのに脱いでいくと胸板が覗きラフさがある。

『あたしには風当たり強いんだ…別に好きじゃないから嫌われてもいいけど不意打ちでびっくりして、こんなにもショックを受けてる…別に結婚報告なんてメールですればいいのに…相変わらずあたし嫌われてるんだ…』
コートとワンピースの間に涙の雫が落ちシミを作る。

『……君が翔子にこだわっていたから結婚報告は俺なりのケジメだった…式には翔子を呼ばない、それで構わないだろうか?』
結城が両膝に手をあてて奈々美を覗き込むかのように聞いた。

『………ん』
そのひと言を伝えるのが奈々美にとって精一杯の返しだった。

『泣き虫奈々美さん、身体を洗ってあげますからお風呂に行きましょう』
彼は彼女の両手を握り立たせ身につけているコートとワンピースをとりさった。

風呂場にて。
泡だらけの2人の身体にシャワーのお湯が流れ2人の肌をクリアにさせていく。

シャワーフックにかけたまま結城が奈々美の肩から脇の下、ぜい肉のないウエストに指先を這わせ微笑む。

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