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《愛撫の先に…②》
第15章 握る小さな手…
✜ ✜ ✜

それから数日後、アサヒコーポレーション。
ランチに向かう奈々美と陽子がビルから出ると2月の横なぶりの北風が髪とコートの裾をなびかせ2人は目指す店を止め会社から歩いて5分の定食屋に入った。

寒さから遠くには行かないというアサヒコーポレーションの社員も多く満席に近い状態で端っこの向かい合わせの席に落ち着く。

『寒いね…蕎麦食べてあったまろうよ…』
手を擦り合わせハァと息を吹きかける陽子。

『うん、言ってたあのピザ屋さんはまた行けばいいんだし蕎麦も温まるからホッとする…』
相づちをうつ奈々美、翔子の時と比べると親友だからリラックスしている、気を使う事はないのだ。

茶色い陶器の味のある丼に8分目の鰹といりこ出汁がきいた香の湯気に浸かるように手打ちの均等さの8割蕎麦、刻みねぎ・かまぼこ。
そしてたくあん、手にぎりの海苔が巻いてある熱々のおにぎりの中はチョイスの梅・鮭。小松菜の油炒め。
昼の880円のランチ定食、同じものを頼んでいた。

あったかさと和風の美味しさに満たされ2人はレジを済ませ店を後にし外の寒さからすぐに会社に戻り人けのいない廊下の自販機前の椅子に座った。

『椅子がつめた〜い、冬なんだから座布団でも敷いてあるといいのにぃ、蕎麦食べてあったまったのに台無し〜』
陽子が椅子から立って壁に寄りかかるも壁もひんやりしている。

『ロッカーとこ戻ろうか?』
促す奈々美。

ロッカー前にて。
他にはまだ誰もいない。

『ね、課長とあたししか知らないんでしょ?』
陽子が耳打ちする。

『ん…相沢さんにでも知れたら会社中に広まるような気がして啓輔さんに迷惑かかるんじゃないかって…』
照れくさそうに奈々美は落ち着かなくクルッとまわった。
2人共にコードを脱ぎブーツを履き替えている。

『アハハ確かに相沢にでも知れるとすぐ広まるよね、凄い顔してデスクの前に手をついてパソコン叩きそう』
陽子は想像して呆れ上を向いて、奈々美をみる。

『だから課長と陽子以外は言わない…陽子と遥斗くん以外は友達いないんだけどね…』
2人しか友達がいない事に恥ずかしそうに下を向く。

『仕事……続けるの?』
真剣な顔になり聞く陽子。

『うん、どうして?』
普通に答える奈々美。

『……そっか』
未来の事を案ずる陽子、表情を変えない親友をみてその先が何を意味するのか聞かない事にした。
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