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《愛撫の先に…②》
第15章 握る小さな手…
その日の内に奈々美は陽子に結城の子がお腹にいる事を電話で伝えると自分の事のように喜んでくれた。

『4週目だって…落花生みたいな小さなものがふわふわ浮かんでてこれが赤ちゃんの元だなんて信じられない』
奈々美はシャワーを浴びゆったりした上下のスエットを着て横になっている。
バスローブは紐で結ぶ為に控えたのだ。
初めての母子手帳を眺めてとりあえず悪阻が出ない時を見計らって電話したらしい。

『落花生みたいな?胎児でしょ、スマホで調べたけど実物のエコー写真ってどんなの?』
興味津々らしく浮ついている。

『ペラペラの白黒写真』

『なにそれ、その表現っ、奈々美っぽい〜』
ソファーにでも座り話しているのか手足をバタバタさせ笑っているのが容易に想像出来る。

『あたしっぽいって何よぅ……』
奈々美は頬を膨らませる。

『明日も会社休んでいいからって課長が、やりかけの企画書はあたしが引き継いだから安心して…出られそうな感じだと出勤してくればいいじゃん』
世話好きらしく言う。
その表現にはまだ診断されてもいない内から妊娠等と課長に伝えるべきではないと思ったのだろう。
体調が悪いというだけでつらそうだというのは誰にでもわかる事なのだから。

『うん、ごめんね…あたしが課長に連絡しなくちゃいけなかったのに……』

陽子は笑って『いいよ』と返してくれてこれが一番聞きたい事なんだというように恋バナの女子トークの声色へと変えた。
『ねぇねぇ、結城さんはどんな風?落ち着いてる?浮ついてる?緊張してる?たまごホリック男の子の父親になろうと覚悟していたって男気ありすぎるわ〜…今回は難しい顔なんてしてなかったよね?もちろん…自分の子供なんだから』
ニヤニヤして聞いているのがわかる声色だ。

『悪阻がどんなふうなのかわからないからタオルやティッシュを持って立ってくれてる、まるで今までの啓輔さんじゃないみたい…今部屋の中おにぎりと甘いものでいっぱいなの…悪阻が止まらなくて産婦人科からの帰りに車の窓を開けてくれて…ご飯処の店からご飯の炊けるにおいにあたしが落ち着いてきて…おにぎりやご飯を炊けば平気なんだとわかったみたいで…』
おにぎりをみる。
『アハハハッ奈々美ってかわいい〜、結城さんもどうしていいかわかんないんだね、でおにぎりと甘いものをたくさん…今からもう甘やかしの旦那だね〜…』
羨ましそうに言う。
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