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《愛撫の先に…②》
第1章 あたし磨き
ドアを閉めた玄関で。
『部屋に居たみたいですね』
ふぅっと安堵したように息をはくような結城の表情に菜々美は胸が高鳴る。

『チャイムも携帯も結城さんだったなんてごめんなさい、あたし…』
菜々美はエプロンの端を握りうつ向いた。

『寝ていましたか?
ちょっと帰りが遅くなり待たせてしまったようで、すまない』
『すまないだなんてまだ8時だから』
『君が待っているでしょう』
『あっ――』

不意打ちだわ!
あたしが待っているから帰りを気にするなんて…

菜々美は泣きそうな思いを口元に両手を当て我慢する。

『今夜はハンバーグ?
お腹が減ったな…あはは』
腹部に手を当て恥ずかしそうに笑う彼。

料理上手な陽子の気持ちがわかるような気がするわ、
これが同棲の良さなのね?
待つ幸せ…
迎える幸せ…
時々しか作らないあたしの食生活を見直さなきゃ!
スーパーの特売品のチェックも欠かさず――
明日からもお腹を減らしたこの顔を満たしてあげたい――…

『菜々美、
寝ていたのならシャワー済ませて先に休みなさい。
後片付けと洗濯はやっておくから』
『えっ!?』
空になった食器をリビングのテーブルから下げようとした菜々美はスプーンを落として。

『君は朝が弱くて眠いはずだから』
『ううん、あたし…』

当たってる?
最近眠くてあくびをかみ殺しながら仕事してた?


脱衣室にて、
外したブラジャー。
脱いだショーツ。
菜々美が手にするソレを結城は頷いて洗濯ネットに入れ脱衣かごに放る。

『あっ――』
『君が素直にシャワーを浴びようとしないから自ら脱ぐのを見るまでですよ、
今更赤くなっても胸を隠しても全部知っているから』『!!!――…』

ああ〜っ!
恥ずかし過ぎます!

『はい、菜々美はシャワー』
『結城さんは…』
『台所です』
素っ裸の菜々美は彼に両肩をそっと押されシャワー室へ促され。

ああ、恥ずかしいのか抱かれたくて体が疼くのかわかんないくらい赤くなる。
同棲って恥ずかしい………!
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