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《愛撫の先に…②》
第1章 あたし磨き
『泣かないでよ?
資料室で喋ってたっていうのがバレバレだから、
けど家庭環境って泣きそうな程の?』

『離婚…』

『両親の離婚ってあたし経験ないけど友達が経験してて声かけづらくて…』

『あたしが結城さんの立場だったらどうしていたかと思うと…
どこにでもいるような普通の両親だけど2人いるって事が当たり前だと思っていたから……
結城さんの過去にあたしは抱きしめるだけ……で…』

『離婚は両親だけの問題じゃなくて家族にも影響を与えるわけね…
過去に結城さんにつき合ってきた女がいても今は菜々美がいるじゃない』

『ん…』

『泣いてあげる菜々美だから良かったんじゃない?
さっ気持ち切り換えてデスクに戻ろ』

同棲を始めたばかりの菜々美の幸せぶりを聞きたかったが、
離婚という思わぬ展開に陽子も胸にこみ上げる寂しさがあった。


……
………
21時、マンション。
夕食も済ませリビングにてパソコンを見る結城、
その側で携帯小説を書く菜々美がいた。

鳴り始めた携帯に手を伸ばす彼の顔色が変わった。
『取り合わないように言ったはずだけど…
わかった、今から戻るから』
はああ‥と大きくため息をついた彼はパソコンを閉じてソファーから立ち上がった。
『行ってくる』
そう言いながらバスローブからジーンズに黒のニットに着替え始める。

『結城さん何かトラブル?』
菜々美は彼の側で心配そうな声色。

『君は寝ていなさい、
もらった合鍵で帰ってくるから』
車とこのマンションの鍵を掴み彼はそう言って外出していく。

今までにも勤務先から電話がくる事はあったが、
指示をすれば済む内容だったが今夜は違うみたいらしい。

結城さん…

菜々美はドアにもたれかかり目を閉じた。

トラブル?
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