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《愛撫の先に…②》
第1章 あたし磨き
先ほど布団の中で上下のスエットの脱がされるシーツや肌への微かな衣擦れ、
布団の中でモゾモゾと動いたその行為は堪らなく。

菜々美のマンションに来てからは風呂やソファーで戯れる事はあってもベッドでは眠るだけとなる。
「何故か君は疲れている、眠らせてあげたいからの配慮だ」
――だが、今までにも布団の中で衣服の中に手を入れられ下着の上から胸を覆われたり下腹部や背中を撫でられてはいたのだ。
話しながらのそういった戯れに菜々美は幸せを感じる甘い顔をして。

だからこその不意打ちだ。
『冷えた体に君はとても温かかった…だからこそお返しに温め返している』
そう言いながらブラのホックを外す彼に菜々美は慌てた。

『だめ、ホックを外さないで』
『どうして?今更』
『先が当たって感じちゃうから…』

『先が当たって感じる――確かに君は…フフフ…
寝不足の君が眠れない夜になるのも可哀想だからホックはとめてあげます』
ホックはとめられ優しく下着上から膨らみを掴まれ、再び優しく抱きしめられて。

『…ん…あぁ…』
『抱きしめるだけで吐息と喘ぎ声…かわいいよ、
だけど俺も眠くてこうして抱きしめたまま眠りたい』
『このまま抱きしめたままで?』
『それとも俺が君を組み敷いたのがいい?』
そう言って彼は彼女を横向きから仰向けに寝かせ両腕を掴み身を沈めた。

『あ…ん…』

心地よい重み…
エッチなしでこの体勢は堪らなくて…

結城との行為で何回もこうした組み敷かれる事はあるが、
行為なしでただの〈温め〉からのこの体勢は菜々美に女として男の体格を改めて意識させられるようで。

『気持ちよさそうな顔をしている…気にいったみたいですね』
喋る息が菜々美の耳もとで聞こえ彼女は身をふるわせる。

『菜々美なんで俺を名前で呼ばない?』
『あたし磨き…自分があなたと釣り合うまでは…』

『釣り合う?俺は菜々美を卑下してはいない』
『あなたは大人で寛大であたしにはもったいないくらいだから…』

『頼りなくて危なっかしくて…だから俺は目が離せなかった、
君が完璧な女ならば契約だけで終わっていた』

あたしが完璧な女ならば契約だけで終わってた?

『自分磨きなんてつまらない意識を捨てなさい』
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