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《愛撫の先に…②》
第1章 あたし磨き

……
とある夜、
いつもなら20時までには帰宅するはずの結城を夕食の支度を終え、
テレビを見ながら待っている菜々美は時間を気にしていた。

20時50分を過ぎた頃鍵が差し込まれる音に安堵し出迎える。
『…ただいま』
髪を乱し汗をかいたような彼はあらい息。

『お帰りなさい、
あの…まるで走ってきたみたいな…』
結城を見て安堵から変わる不安な気持ち。

『この間の彼女が俺の車をずっとつけていて…このマンションも通り過ぎて2つ先のコンビニで車を置いて走って…』

『この間の彼女?
書き込みの?それともスイートタイムに押しかけた相沢さん?…』

『スイートタイムの方になる…』

『相沢さん結城さんの勤務先で待ち伏せて?ひどい!』

『俺はわざとこのマンションを通り過ぎあちこち走りまわりあの車を撒いて、
コンビニから歩いて帰ってきているから俺の居場所はわかりはしない』

『だから汗をかいて』

『このマンションにいる事はわかりはしない、
そんな心配そうな顔をしないでほしい』

『明日は?明後日は?相沢さんがまた結城さんをつけ回すなんて事あたし耐えられない…
ばれたって…』
両手を握りしめうつむく菜々美の肩を結城が抱き、
その指先は励ますかのように腕を軽く撫でていく。

『菜々美を守る為だから平気ですよ、それよりも相沢さんでしたね?
彼女には気をつけるように』

結城さんと普通の恋がしたいのに予言を望む周りから苦しめられているような気がするの――…

陽子みたいに堂々とした同棲がしたい…

【俺には恋人がいます、
予言を終了させた事と何ら関係はありません。
そっと2人を見守って下さい!
結城啓輔】

守られている菜々美――…
嬉しくてせつなくて…
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