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第4章 お年玉
「…甘いのよ、ウチの親。学生時代に妊娠して、勘当なんて言われて、息子の小さい頃に関わらないまま、離婚しちゃったから。歳をとってから寂しくなったのかしらね。それに、もっと、自分達が育児に関わって、逃げ道になってたら、私があんなことしなかったんじゃないかって、悔いがあるみたい。私が泣いて実家に入れてくれって戻った時、母も泣いたの。だから、誠治さんとの再婚は、本当に喜んでくれたし、お互い、二度と失敗しない、って約束したから。誠治さんにも感謝してるのよ。だから…ね?」

そう言って桜子が指差したのは、紳士服のチラシに掲載された、メンズのトレンチコートだった。

「あれ? コートって、俺の?」

「結構傷んできてるでしょ。だから、見に行きましょう? すぐ支度するわ。ちょっと待っててね。」

桜子はニコッと笑って、立ち上がった。





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