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嫌いじゃなかったの!?
第5章 4ページ目

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「どうですか?初めての伏見稲荷」
私は隣を歩く佐伯さんに尋ねる
佐伯さんは私の方を見て嬉しそうに笑って
「すごく楽しいです。僕が好きな小説にここが出てくるので、なんといいますか、聖地巡礼な感じでとても楽しいです」
そう言った。
その姿はどことなく少年ようだった
私は昨夜の佐伯さんの言葉を思い出した
『育児放棄をした母親』
ただ本当に京都に行く機会がなかったのかもしれないが、もしかしたら、行けなかったのかもしれない
行かせてもらえなかったのかもしれない
でも今はそんなくらいことを考えるのやめよう
せっかく伏見稲荷に来たんだし
佐伯さんも楽しんでいる様子だし
佐伯さんの偽りのない笑顔はとても綺麗だった

