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嫌いじゃなかったの!?
第6章 5ページ目。




エレベーターまでと言ったのに、エレベーターの前で立ち話


これでもまだ話し足りない


私と三河さんは結構好きな漫画が同じでこうして話し込んでしまう





だからその時も気づかなかった





「ですよね!わかります!もう次巻が楽しみで仕方ないです!でも雑誌買うのは悔しいので買わないです!」


「売り上げ取られちゃうもんね、あ、杏子ちゃん頭に埃ついてる!」


ん?どうしてだろう。


「さっき倉庫行ってきたからかもしれないです」




エレベーターが止まる小気味の良い音に。




「どう暴れたら頭に埃がつくの、じっとしててね、取ってあげるから」



そう言って私と身長8センチほどしか変わらない三河さんは背伸びをして、「ちょっとごめんね」と言ってバランスを取るために私の肩に手を置いた


私は反射的に拒否反応?というか、驚きでビクンッとしてしまったが、ここで触らないで!とヒステリックに叫ぶとなにかと仕事がしにくくなる


だから私は顔は強張っていたことだろう


だが、「ちゃんと取ってくださいねー」なんて冗談を言う


「よしっ、取れたよ!っていうか僕なんで今まで気づかなかったんだろう」


そう言って三河さんは笑う


「あ、ありがとうございます。取れてよかったです」


未だ強張りが解けない笑顔を向けて私は三河さんにお礼を言う


やはり、男性に体を触られるのは苦手だ


しかし「いいよいいよー」と三河さんがニコニコして言うので私もそれにつられて笑ってしまう



よし、そろそろ帰ろう。そう思った時



「こんなところで何してるんですか?真嶋サン」



気のせいかいつもよりも低い声。でもこの声はあの人だ


「さ、佐伯さん…」


そう。エレベーターの前に営業スマイルで立っていたのは佐伯さんだったのだ



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