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嫌いじゃなかったの!?
第6章 5ページ目。
「あぁ、佐伯くん、資料取りに来たんだっけ?」
三河さんのは佐伯さんからにわかに出ているドス黒いオーラを感じないのか、笑顔でそう言った
すると佐伯さんはいつもよりも深い笑みを浮かべ
「いえ、それは石川さんが編集長に話があるらしく、ついでに取りに来られます。僕は書店からのサイン会依頼リストを届けに来ました」
ニコッ
音がしそうなほどの爽やかスマイル
な、なんでこんなにも不機嫌なのだろう?
嫌なことでもあったのだろうか?
佐伯さんは持って来た資料を三河さんに渡し、
「じゃあ真嶋さんは連れて帰りますね」
と言って、私の肩を抱いてエレベーターに乗り込んだ
「仲良いねぇ!若いねぇ!」
とテンション高めにちゃちゃをいれてくそんな三河さんもエレベーターの扉が閉まり見えなくなる
それを見計らって私はいつものように、するりと佐伯さんの腕から逃れようと体をひねったが動かなかった
「さ、佐伯さん!仕事場では特に触らないでって言ったじゃないですか!」
私はそう言った。
それには訳があって、京都から帰って来て以来、人目を盗んでは私に触れてくることが多くなった
倉庫に2人で行った時には危うく押し倒されるところだった
しかも、触ろうとしてくる佐伯さんにあーだこーだと文句を言っているのを遠目から見られ、あいつらは付き合っているんじゃないかと言う噂が立ってしまった
これだけ聞いているとただの変態に思えるが、イケメンだからそれが変態に見えないのが解せないところ。