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嫌いじゃなかったの!?
第6章 5ページ目。





「じ、じゃあ始めは何をしたら良いですか?」


佐伯さんは蓋がされた便器に座っている


私は立っていて、佐伯さんを見下ろすような形でそう尋ねた


佐伯さんはいわゆる上目遣いで私を見上げて


「真嶋さんからキスして」


と言った


上目遣いというのは、女性だけの武器かと思っていたけどどうやら違うらしい


上目遣いでそう言った佐伯さんはいつもよりも可愛く見えて、私の中の母性本能が「キスしてあげたい」とにわかに言っているようだった



私はためらいながらも腰を屈め、佐伯さんに顔を近づける


う、うわ、すっごい目合ってる


近くで見れば見るほど顔は整っていて、こんな人に私は抱かれたのかと、こんな人に今から自分でキスをするのかと思うと、突然恥ずかしくなってきた


このままじゃ絶対キスなんてできない!


そう思って、せめてもの救いを求めて


「あの、目閉じてもらっても良いですか?」


とお願いした


すると意地悪気に笑い、目を瞑ったくれた


こ、これでなんとか…


私は一度深呼吸をして覚悟を決める




よしっ


佐伯さんの高い鼻に私の低い鼻が当たってしまわないように顔を傾け、薄く目を開いて、形の良い唇に口付けた






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