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嫌いじゃなかったの!?
第7章 6ページ目。

私は心を決めた
時刻は17時半過ぎ
ちらほらと帰り支度をしている人たち
私は前に、酔った際佐伯さんに家まで送ってもらった
それの恩返しはしておかねばならない。鶴の恩返しならぬ、杏子の恩返し。
身を削って機織りはできないけれども、看病くらいはできる。
「佐伯さん、しんどいとは思いますがとりあえず帰りませんか?肩貸しますよ」
私が佐伯さんの耳元で小さくそう言った
すると佐伯さんは掠れた声で
「いいんですか?」
と顔を上げて言った
不覚にも、弱ってる佐伯さんは可愛い
私はその言葉を聞いて佐伯さんのカバンを持ち、立ち上がろうとしてふらつく佐伯さんを支えた
「あ、杏子ちゃんが佐伯くん連れて帰るの?」
野田さんが心配そうにこちらを見ていた
「家が近いので、送ります。ではお疲れ様でした!」
私はそう言って、佐伯さんを支えながらオフィスを後にした
しかし、約20センチ差がある大柄の男(イケメン)と肩を組んでいる私は、当然のように好奇の目線に晒された
佐伯さんはやはり他の部署の女子達にも人気のようで、嫉妬の声も聞こえてきたが私は聞こえないふりをする
蓮と歩いていても感じたことのある視線と声だったからだ
高校の時なんかは、「地味なやつが学年でもトップレベルなイケメンと一緒に帰ってる!?!?死ね!!!」なってことが無きにしも有らずな感じだったし
慣れることはないが、もう諦めはとっくの昔についていたのかもしれない
「ちょっとお高めになるんですが今日はバスで帰ります。家まで案内してくださいね」
私がそういうと「ほんとにありがとうございます」そんな掠れた声がして、そのまま私たちはバス停までこの格好で歩いた
もちろん、たくさんの視線を浴びて

