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嫌いじゃなかったの!?
第7章 6ページ目。

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バスで帰ると30分近くかかる
佐伯さんは降りるバス停だけを寝言のよう言い、ころりと寝てしまった。私の肩で。
幸いそのバス停は私もバスで帰るときに降りるところだった
ほんとに住んでるところが近いんだなあと改めて感じた。
しかし、通勤で一緒になったことはない。
夜になっても明るい東京の街並みを抜けて、いつの間にかバスは見覚えのある街を走っていた
次のバス停で私たちは降りる
だから、そろそろ佐伯さんを起こさなければならないけれども、佐伯さんはしんどそうに熱い呼吸をしながらもぐっすりと、時々うなされながらも、寝ている
本当は起こさず、このままおんぶで…
が、望ましいのけれど私にそんな力はないからしぶしぶ佐伯さんの肩を揺すった
「佐伯さん、次のバス停で降りますよ」
そういうと、
「…ん…あぁ、すみません…わかりました、でももうちょっとだけこのままでいさせてください」
と言って、佐伯さんは自身の熱を持った手で私の手を握って、
「真嶋さんの手、冷たくて気持ちいいです」
そう穏やかに呟いた
私の顔は、手を繋いだことによって真っ赤かで熱を持っているのに、手は冷たくて気持ちいいらしい
ほんとうに、とことん私の心を乱す。

