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嫌いじゃなかったの!?
第8章 7ページ目。
時刻は7時過ぎ
まだ、蓮が起きてくる時間ではないけれどあと少しで蓮が起きる時間だ
私は朝ごはんを作りながら、どのよう顔をしたらいいのだろうかと悩んだ
昨日快感に歪んだ顔を見せていたのに、今更カッコつけた顔なんてできない
そもそもカッコつけた顔を蓮の前ではしたことなんてないけれども
突然、ただでさえ狭い家がもっともっと狭くなった感覚
この家ならどこに隠れたってすぐに見つけられてしまうし、存在を感じてしまう
すっっごい気まづい!
そんなことを考えていると蓮のケータイの着信音が蓮の部屋から聞こえた
珍しい、こんな時間に。
朝の起きる時間より早くに起こされるのが嫌いな蓮に電話をかけてくるということは相当急な要件なのだろうか
低くて聞き取れないけど何か話している。
仕事でのことだろうか
ガチャ
そして、間も無くしてリビングの扉が開く音
朝ごはんをテーブルに並べている私にゆっくりと近づいてくる
私はあえて後ろ向きで、顔を合わせないように、いつも通りに
「お、おはよー、蓮」
私は後ろ向きのままいつも通りの朝の挨拶をした
すると蓮は朝特有の掠れた声で
「ごめん、昨日は…酔ってて、止められなくて…」
そう言った
その言葉に私はなんと返していいか悩んだ
今考えると後悔しかないし、嫌だった。
でも今更、あんなによがって、アンアン鳴いておいて「ふざけないで!何が止められなかったよ!」なんて言えない
あの快感はこの体が覚えている。
しかも、ここで蓮と仲が悪くなりたくない
だって、蓮には昔からお世話になっていて、幼馴染で、東京に出てからだってたくさん助けてくれた
今までのこの関係はとても好きだった。変えたくない。
変わらない関係、変わらない生活が私は欲しい。
だから。震えた声で私は
「あ、ううん!私酔っててあんまり覚えてないの…体が少し痛いくらい…かな?」
そう言った。あははっ!っと笑ってごまかした。一昨日と同じ関係に戻りたい。そう願った。