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嫌いじゃなかったの!?
第3章 2ページ目。
私が佐伯さんをここにまず連れて来たのは、この書店が私の書店研修をした店だったからだ。
だからとても思い入れがあるし、田島さんとは仕事以外でもたまに食事に行ったりする。
まずはそういう関係を見てもらいたかった。
「よし、じゃあ在庫確認も終わりましたし、次の書店に向かいましょう」
「はい」
そう言って私の目を目てニコッと笑う
そんなにニコニコしなくていいのに…
そんなことを思いながら書店から出ようとすると、
「あ、すみません」
佐伯さんはそう言って突然立ち止まった
「どうしましたか?」
「どうしても今日欲しい本があるので買って来てもいいですか?」
私は腕時計で時間を確認する。
時間にはまだ余裕がある。
「はい、いいですよ。なら私はここにいますので声をかけてください。でもあまり時間がかかると遅れてしまうので気をつけてください」
そう言うと佐伯さんは嬉しそうに笑って
「ありがとうございます」
という言葉を残して書店の小説コーナーへ姿を消した。
あれ?さっきの笑顔。
作り笑顔じゃなかったような…