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嫌いじゃなかったの!?
第9章 8ページ目。
〜凌side〜
ここ2日くらい杏子は髪を下ろして出社して来ている
このジメジメとした季節に、胸元まであるストレートの長い髪は邪魔だし、暑いだろう。
何故そうしてるか聞いても答えてはくれないし、2人きりになった時に髪に触ろうとしたら今まで以上に避けられて、怒られた
そして、何よりも気がかりなのは、他の部署の奴が杏子に気づいてしまったことだ
「なぁ、佐伯!お前の部署にあんな美人いたっけ!?」
俺と同期で、雑誌宣伝部にいる重富と廊下で出会った時にそう言われた
「誰のこと?」
そう聞くと
「なんつったかなー、三島?じゃないな…あ!真嶋!真嶋さん!」
と言った
正直、杏子の名を軽々しく口にしないで欲しい。そして何よりも「しまった」と思った。
心のどこかで焦りを覚えた。
というか、なんでこいつは杏子のこと知ってんだ?
不思議に思い尋ねてみると
「昨日2人で打ち合わせしたんだよ!『週刊ボーイズ』のホームページの宣伝方法について!」
なるほど、確かに昨日、杏子には打ち合わせの予定が入っていた
「あの人、スッゲェスタイルいいよな!胸でっかかったし!最高。」
ふざけんな。そんな目で杏子を見ていいのは俺だけだ。
こいつは杏子に手を出しかねない
そう思い
「でもあの人結構無口で、重富とは気が合わないんじゃないかな?」
クギを刺すとまではいかないが、どうにか重富の興味が杏子から逸れる事を狙って言った
もちろん、とびきりの営業スマイルで
すると、
「ふーん、ま、明日も打ち合わせあるからそん時また話すわ!じゃな!」
そう言って重富は去っていった