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嫌いじゃなかったの!?
第9章 8ページ目。




〜杏子side〜


私は立っているのが辛くなって街路樹のそばにしゃがみ込んだ


凌…早く…




凌に電話をかけてからほんの少したった頃。


遠くから1つだけ、走ってくる音が聞こえた


それは人々の喧騒、雑踏の中でなぜか私には響いて聞こえた。それだけが響いていた。



そして、その足音は私の近くまで来て止まって、上から


「杏子…?」


そんな声が降ってきた


私の待ちわびていた人の、あの優しい声が。



私はゆっくりと顔を上げて、泣きそうになりながら「凌ぅ…」と呟いた


すると凌は私をゆっくりと立ち上がらせて、私を優しく包み込んだ


なんか、デジャブ。


でもそれがすごく安心した。



周りからザワザワと私達を見て噂している声が聞こえるが気にならなかった


そして、凌は優しい声音で


「どうした?なんか怖いことでもあった?」


と聞いてくれた




「重富さんと…打ち合わせついでに食事に行ったんだけど、何か薬を盛られたみたいで…体が変で…もう体中が熱くて、辛いの…」


私がそう言うと凌は絞り出すような声で「アイツ…」と言った


そして私の頭をゆっくりと撫でてから


「もう大丈夫だから。すぐ楽にする」


そう言って私の腰を抱き、歩き出した




夜の街へと。


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