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嫌いじゃなかったの!?
第10章 9ページ目。
私が何も言えないでいると
「俺に言えないことでもしてたのか?」
蓮は不機嫌そうにそう言った
「ち、違うの!」
私は慌ててそう反論したけど、一体何が違うのか。
言えないことをしていたではないか。
「何が違うわけ?」
そう言われて、当たり前のように何も言えなくなる。
重い空気が流れる。
麻婆豆腐のいい匂いが今はわからない。
ただ、何を言おうかと頭を働かせる。
そしてようやく私は口を開いて
「二次会で泥酔しちゃって家まで帰れなくなって、先輩の家に泊めてもらいました…」
そういった。
まさに口からでまかせだけれど。
蓮は相変わらず不機嫌そうな顔をしている
「言い淀んだのは、また、人前で泥酔しちゃったこと怒られると、思ったから…だよ?」
「はぁ…」
蓮は忌々しげに息を吐いて
「今度からは気をつけろよ」
と言って「いただきます」とサラダに手を伸ばした。
私もおずおずと「いただきます」と言って食べ始める