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嫌いじゃなかったの!?
第10章 9ページ目。
重い。空気が重い。
この同居生活で過去一番重い。
蓮と喧嘩をすることはよくあったけれど、これほどまでに気まずくなったことはあっただろうか。
いつもは言い合いをするけど、今回は私が一方的に悪い。
しかも蓮は一見許したように思えてもまだ不機嫌。
あまり感情の揺れを長引かせるタイプの人ではないけど、許してはいないのだろう。
それほどに怒っている。というか不機嫌。
「やっぱり蓮の作る麻婆豆腐は美味しいなぁ!」
なんて言っても
「おう」
としか返ってこない。
く、苦しい…息が詰まりそう…
豆腐が喉に詰まりそう…
もう空気を軽くすることを諦めよう。
身を任せて流れるところまでながれよう。
そんなことを考えていた時、突然蓮の手が私に向かって伸びてきて
「ッ!?」
私の左手を覆った。
私は、もはや条件反射で体がビクッとしてしまった
自然と体が縮こまってしまう。
ゴツゴツとした手を感じる。
暖かさとかは今は感じない。
私は恐る恐る蓮の顔を見た。
すると悲しげな表情をしていた。
なんだか私も悲しくなってしまうような、そんな表情。
そして、苦しげな声で
「そんなに俺のこと嫌いか?」
そんな言葉が紡ぎ出された。