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嫌いじゃなかったの!?
第10章 9ページ目。

〜凌side〜
杏子に触れたい。
最近そう思うことが多くなった。
なら触れてしまえばいいじゃないか。
しかし、そんな簡単な話でない。
そんな簡単な話ではなくなってしまった。
杏子は俺のことを「凌」と呼ばなくなった。
2人きりの時でも。敬語を使って、「佐伯さん」と呼んで、無駄話はしない。
からかっても何も反応を示さない。
俺、なんか悪いことしたっけ?
杏子を抱いてから1週間。
その間、一度も触れていない。
否、触れさせてもらえない。
何かおかしい。
俺は自惚れていたのかもしれない。
杏子は俺のことが好きだ、と。いや、好きになるに違いない、と。
どうやら違ったらしい。
女の勘は鋭い。
そのことに気づいて愛想でも尽かしたのかもしれない。
しかし、杏子はそんな女だっただろうか。
俺の好きになった女はそんな人間だっただろうか。

