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嫌いじゃなかったの!?
第10章 9ページ目。
「はい」
私がそう返事をすると、松田さんは、ハァーっと長く息を吐き出してから
「きっとそうだと思ってたよ」
と言って微笑んだ。
なんかだか、その笑顔に安心した。涙が出そうになるのをこらえた。
私の抱えているコトが分配されたような気がした
実際はそうではないとわかっているけど。
カーキのエプロンをつけたウエイトレスさんが注文を取りに来た。
おしゃれなカフェは、働いている店員さんもおしゃれで、ネイルはしていなけれど、綺麗な爪だなーとか、可愛い靴だなーなんて見入ってしまった
私はコーヒーを頼んで、松田さんはケーキセットを頼んだ
「俺甘党なんだ」
と、だろうね、と言いたくなるような発言をしてから。
友達の彼氏とこうして2人きりであっていることに罪悪感を感じないわけではないが、
こんな、どうってことない日常が、ひどく幸せに思える。
それは、最近、非日常を味わい続けていたからだろう。
私はそんな、非日常から抜け出すために、もしくは、非日常を日常にするために、いまここにいるのだ。
解決、とか、そういうのではなくて
正解に近い方。
でも、その正解がわからない。
何を持ってして、正解なのかすらも。
誰基準の正解なのかも。
その正解が知りたいから。
正しく選べるように、私は松田朔太郎さんに話すのだ。
出来事を。
「松田さん。聞いてくださいますか?1人の女と2人の男達の話を。」
私がそういうと、松田さんは優しく微笑んで
「もちろん」
と言った