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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。
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そういやぁ、神保町って杏子の会社があるとこじゃないか?
まぁ、だからどうしたってことはないけど
しかし、心のどこかで一目でも杏子の姿を見れないかと期待した。
家で散々見ているというのに。
時刻は20時過ぎ。
人が多い。
祐樹と隆也のいる居酒屋まではあともう少しという時、見知った男が横を走り去っていった
あれは…
「佐伯…凌…」
前にあいつを見たときはクールに、他人に興味がなくて、熱くなるのがカッコ悪い
というような様子だったのに、先ほど走り去った姿は焦っているようにも見えた
余裕しかなさそうな奴なのに。
だからなの、なぜそんなにも焦っているのかが気になって、俺もその背中を追いかけることにした。
あいつは背が高いらしく、見失うことはなかった。
しかし、足が速い。
俺でも最近出したことないくらいの、全速力。
そんなに慌てるようなことがあるのだろうか?
俺も走った。少し緩めではあったが、見失わないようにと。
走り出してから少し経った頃、佐伯はある街路樹のそばで立ち止まった
そして、1人で下を向きながら何か話しているようである。
ん?一体何に向かって話しているんだ?