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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。
するとそこにはうずくまって腕を抱いている杏子がいた。
杏子の頬は酔ったのか、随分上気しているように見える。
そして、杏子は上を見上げて、佐伯の顔を見上げて、泣き出しそうな顔をした。
しかし、それは悲しみからというよりも、安心でというような印象だった。
佐伯は心底安心し、そして心配げな表情で杏子に話しかけていた
その2人を見ていると、酷く胸が痛んだ。
心臓を握りつぶされたように痛かった。
そして、もうこれ以上2人を見て痛くはなかった。
しかし、体が動かない。
呆然と立ちすくんでいるようだった。
やめてくれ、もう何も見たくないんだ。、
想像だってしたくないんだ
自分の愛している人が、他の男に……
杏子は佐伯につかまりながらゆっくりと立ち上がり、そして、佐伯は小さく体を震わす杏子を
優しく包み込んだ。
まるで、宝物のように。
俺は、黙ってその姿を見つめた。
杏子の腕が、控えめに佐伯の背中に回された