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嫌いじゃなかったの!?
第11章 10ページ目。
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私達がオフィスに戻ったのは17時。
凌と野田さんペアはまだ外回りから帰っていないようだった。
私はそれに安心する。
きっと凌も書類仕事があるだろうし、私より遅く戻ってきたら、私より遅く終わるに違いない。
俄然やる気が出てきた。
これが終わったら、きっと伝えるんだ。
凌の気持ちに応えられるんだ。
いつも、口に出かけて、寸前のところで止めていた言葉を、もう、躊躇することなく言えるわけだ。
好きなものを好きと言えない辛さ、これはなんとも言い難い。
それに今日は、朝しか凌を見ていない。
なんというか、エネルギーが湧いてこない。
片思い中の女の子や、同じ学年、もしくはクラス、職場に彼氏がいる女の子は、思い人に「綺麗」「可愛い」と思って欲しいから、女子力磨きを怠らずにできるし、
可愛く、または、美しくなろうと努力できる。
今、私のエネルギーが湧いてこないのは、凌がいないのと大きく関係しているかもしれない。
凌にかっこいいところ見せたいから、とか。
凌のお手本になりたいから、とか。
凌に見ていて欲しいから、とか…。
いつのまにか私は、そんな風に変わっていた。
いつしか、凌のことを、頭の片隅で、常に想っていたんだ。